卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2023年度
タイトル地域とかろやかにつながる若者たち ―地域一体型オープンファクトリー「RENEW」を事例に―
内容  地場産業が衰退をみせる時代背景のなかで、2010年頃から産地ではオープンファクトリーという試みが仕掛けられてきた。本論文では、福井県鯖江越前地域で開催される地域一体型オープンファクトリー「RENEW」を扱う。若者・よそ者が大半を占める「あかまる隊」というサポーターチームによる活発な活動が知られており、若者が関係人口として地域に関わるあり方を示す好事例である。筆者は約半年間「あかまる隊」として活動し、RENEW運営に関わる若者へインタビュー調査を実施した。そこから、彼らが楽しみながら自発的に活動することで自己実現を達成していること、それを可能にする環境が地域にあることが見えてきた。その環境とは、多様な背景や関心を持つ人々が、地域のものづくりへの興味と、自分らしいことをしたいという共通の意識を持って、地域外から集まりつながる環境である。そして、共にクリエイティブに活動する地域事業者と移住者が構築してきた活動基盤の上で、役割を当てはめられず関係人口が自由に活動できる環境である。そうした中で自己実現を達成することで、彼らは地域への愛着を深めている。
講評  筆者は学生生活を通して多くの地域ボランティアに参加してきたが、その過程で、若者が能動的な感覚を持てるような活動の在り方について模索し続けてきた。筆者は、その一つの答えを、福井県鯖江越前地域のオープンファクトリーのイベントへの参加を通して見出した。本論文では、参与観察の記録、イベント運営主体やボランティア等9名へのインタビュー分析をしている。近年、多くの地域で、移住者を中心に多様な居住歴の若者が創り出すローカルプロジェクトへの期待が集まり、「関係人口」「移動縁」概念に関する研究が蓄積されているが、本論文もその文脈に位置づけられる。ここで丁寧に描かれた「地域とかろやかにつながる若者たち」の姿は、広く地域社会の未来像を考える上で示唆に富む。それは、従来の地域社会や地域ボランティアの在り方とどこが違うのだろうか。考察を深めてみたい。
キーワード1 関係人口
キーワード2 オープンファクトリー
キーワード3 ボランティアコミュニティ
キーワード4
キーワード5