卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2023年度
タイトル都市部の高等学校における地域協働型探究学習とは
内容  近年の探究学習重視の潮流の中で、地域と学校が協働して学習を提示することは、田舎では見られるが都市部では少ない。しかしながら身近な地域に寄り添った課題解決をすることは、卒業後にローカルな世界で働く人々が多い日本において、全国的に意味のあることではないかと考えた。そこで、大阪市旭区の高校で実施される、区役所と協働した探究学習に着目した。高校教員、区役所職員、地域住人、卒業生から各2名ずつ、計8名にインタビュー調査を実施した結果、地域協働型の探究学習は提案策が実現しやすい点で都市部であっても行政にとっては多いに意義があった。一方で学生や学校にとっては将来必要となるスキルの習得が探究学習の主な目的であり、地域協働型への拘りは少なかった。そこで地域コーディネーターが人々を繋ぎ、学生と地域の繋がりを強化する中でより実践的な解決策の提案に繋げることが、学習の魅力を増幅させる為に必要であると感じた。また、地域内に留まらない発表大会の実施も、学生・学校の熱量増加や全国的な地域発展の為に有意義だと考える。加えて、地域内で学生の「やりたい」を共に実践する環境の構築も、個々のやりがい増幅に繋がると感じた。
講評  近年、全国の高校で、生徒自身が問題を設定してその解決に取り組む探究学習が推進されている。その背景には、教科の知識を学ぶだけではなく、個々の生徒の自己実現やキャリア実現に寄り添った教育の在り方への期待がある。こうした流れのなかに、高校の地域性を考慮し、地域教育を組み込んだ事例も多い。だが、探究型の地域教育の先進事例の大半は、人口減少著しく、地域課題解決型プロジェクトを自分事と考えやすい非都市部の高校の取り組みであり、都市部の進学校では生徒のモチベーションを喚起するのが難しい。そうしたなか、筆者は大阪市にある出身高校の地域協働型探究授業のステイクホルダーを取材し、その現状と課題についてとても丁寧な記述をし、重要な実践的提案をしている。全国の地域教育と探究教育の思想と実践の文脈を掘り下げ、この提案の意味をそこに位置付けたい。
キーワード1 探究学習
キーワード2 地域教育
キーワード3 地域コーディネーター
キーワード4
キーワード5