卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名小林 久高 年度2023年度
タイトル現代日本社会における若者の自立精神没落化 ──カント哲学を用いた理論的・実証的検討──
内容 今日、若者の世代を中心に、学校での飛び降り自殺や、引きこもりに伴う突然の自死といった報道をよく目にするようになった。実際ここ10年で若年層の自殺率は急増しており、従来にない変化をしている。日本における若者の自殺や精神疾患などの「死に至る病」の根本要因について、個別的要因から説明することは難しい。この現象を説明するためには、とりわけ若い世代に影響を及ぼしている社会的な要因を考察することを本稿の目的とする。哲学者I.カントの理論を用いて自立精神と社会現象の関係性を示し、現代日本社会における死に至る病が、若者達の自立精神没落化によって引き起こされているという仮説をたて議論を進めた。その議論の中で、親子間における精神的・心理的な距離感である心的ネグレクトと、過度な模倣行為がインターネットにより引き起こされ、依存に陥いっていると考えられた。また、大学生の社会生活と職業意識に関する調査データを用いてデータ分析を行った結果、SNSの依存度が直接的に自立精神を没落化させるわけではなく、間接的に自尊心や人間関係に影響を及ぼし、最終的には形成された自尊心と自立精神が相関することが明らかとなった。
講評 若者の自立精神は衰退してきている、という問題意識をもとに、理論的な検討と実証的な計量分析がなされている。関心の方向性は興味深く議論の発展の可能性も予感させるが、未だ洗練度が足りない感じがした。時間不足なんだろうなあ。
キーワード1 自立精神
キーワード2 インターネット
キーワード3 ネグレクト
キーワード4
キーワード5