学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 板垣 竜太 | 年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|
タイトル | 自己肯定感の高さ/低さに囚われない社会を目指して |
内容 | 本稿は、昨今の自己肯定感ブームの裏では自己肯定感の低さに悩む人を増大させているという課題意識のもと、自己肯定感が低いことを認めることが重要であるという視点で自己肯定感を安定させるための手がかりを検討している。先行研究では、自己肯定感尺度を用いて自己肯定感の高さや低さを測っているが、本稿ではそれだけではなく大学生を対象にインタビュー調査を行い、大学生の自己肯定感意識の実態を分析している。そこから、自己肯定感が低いと自認している人は自己肯定感を高めることを必要としておらず、自己肯定感が低い自分自身を受け入れていることが分かった。それを支えるものとして、自分の良い面も悪い面も受け入れてくれると思える人たちとの繋がりである、自分の居場所と思えるものの存在があることが分かった。このことから、本稿では、自己肯定感を高めることを目指すことよりも、素の自分が認められていると思える居場所を持てるような人との関わりや社会を目指すことが重要であると結論づけた。 |
---|
講評 | ここ数年で一般的に聞くようになった「自己肯定感」という概念は、もともと自分の短所や欠点を含め、自分自身をありのままに認めることだったはずだが、ひとたび「自己肯定感が高いのはよいことだ」という価値が設定され、その尺度が開発されてしまうことで、自己肯定感が「低い」とされた人々を再び追い込むような逆説を生み出している。本論文は一元的な価値設定や尺度を疑い、自己肯定感が低いと自認している人も、ありのままの自分を受け入れてもらえる居場所さえあれば、その自分を受け入れることができるという知見が得られている点に意義がある。提出直前に冷や冷やさせられたが、問題を個人化することなく他者との関係に話を持っていった点で評価できる。 |
---|
キーワード1 | 自己肯定感 |
---|---|
キーワード2 | 大学生 |
キーワード3 | 居場所 |
キーワード4 | |
キーワード5 |