内容 |
本稿では、女性高齢者の脆弱性について焦点を当てた。現在、高齢者の孤立化が問題視される中で、大阪府東大阪市石切町に住む女性高齢者は地域住民や家族との強固な結びつきがある。この特異なコミュニティにおける支え合いが、ソーシャル・キャピタル理論で説明できる可能性があると考え、本稿ではその理解を目的としている。石切町に住む5名の単身世帯と、娘との二人世帯である高齢女性を対象にインタビュー調査を行った。彼女たちの石切町に来てからの生活やこれまでの人間関係を明らかにした。これらの調査から、高齢者は血縁だけでなく、地域内での友人や近所の人々との結びつきも重視していることが明らかとなった。高齢者が充実した生活を送るための地域社会との交流が、彼女たちのパーソナル・ネットワークの形成に大きな影響を与え、それがソーシャル・キャピタル理論に適応していることが示唆された。この調査で得られた稀有で強固な女性高齢者のパーソナル・ネットワークは、彼女たちが生きてきた時代の産物であり、この重要性を理解し、次世代へと引き継いでいくことが、これからの高齢者が充実した生活を送るための一歩となるだろう。
",女性高齢者の単身世帯や母娘世帯には一般的に社会的に脆弱であるとされるが、実際のところはどうか。本研究は、東大阪の石切町に住む女性高齢者のソーシャル・キャピタルの具体的様相をインタビューによって明らかにした。インタビュイーはいずれも結婚後の移住者であるが、それ以降、「ママ友」などの近隣のネットワークを形成しており、人口の流動性の低さもあいまって、日常的なコミュニケーションはいずれも濃密であることを明らかにした。各ケースの社会的位置づけや考察に不十分な点も見られるが、5名の詳細なライフヒストリーとパーソナルネットワーク分析は評価したい。" |