卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名板垣 竜太 年度2023年度
タイトル「女性であること」の世代間比較―ジェンダー意識から捉えるポストフェミニズム―
内容 本稿では、世代によるジェンダー平等意識のばらつきを、ポストフェミニズムという概念を用いて明らかにすることを試みている。従来のポストフェミニズム論研究では、若年女性だけが研究対象とされていたが、先行研究から、最も身近な関係ともいえる母娘間でジェンダー平等意識に大きなギャップが見られたことから、ポストフェミニズムの実像を浮かび上がらせるには、両世代の特徴を捉える必要があると考えた。そこで、四年制大学に在学中の女子学生とその母親の世代にアンケートおよびインタビュー調査を実施した。アンケート調査は、計75名(学生50名、母親25名)、インタビュー調査は、計11名(学生7名、母親4名)に実施した。結果として、学生世代にはポストフェミニズム的態度が確認され、その要因に人生経験の多寡やインターネット、ジェンダー関連用語の一般化が進んでいることにより、フェミニズムへの共感の希薄化が見られた。母親世代では、ポストフェミニズム的とは言えないものの、ジェンダー規範は内面化しながらも、フェミニズムへの親和性は高いという独特のギャップが生じていることが明らかになった。",フェミニズムが掲げた課題は解決していないはずなのに、「フェミニズムは終わった」とする態度がポストフェミニズムである。とかく「若い世代がポストフェミニスト的になっている」といった議論になりがちなところ、本研究は学生世代とその親世代の女性の両方に調査票およびインタビューによる調査を実施したところが特徴的である。その結果、学生世代はフェミニズムへの親和性は低めに出るものの、性差別への感度は高いこと、逆に母親世代はジェンダー規範をより内面化している一方で、フェミニズムへの親和性が高いことなどが見えてきており、これらが全体として日本のポストフェミニズム状況を形成していることが分かる。調査対象の偏りはあるものの、研究蓄積の多い領域に切り込み、興味深い結果を出し、それを周到にまとめあげたことを高く評価したい。"
講評 ポストフェミニズム
キーワード1 ジェンダー
キーワード2 世代間比較
キーワード3
キーワード4
キーワード5