内容 |
人身売買問題は、現代において深刻な国際社会問題とされている。国際労働機関(Iinternational Labor Organization)は、1999年に人身売買のなかでも未成年を対象とした商業的性的搾取のことを「最悪の労働形態」と定めた。人身売買の被害者が完全に回復することは困難である。そこで近年注目されているのが「レジリエンス」という概念である。本研究では心理学者Grotbergによって定義された「困難な状況に際しても、その困難に向き合い克服し、成長に導く能力」を先行研究とし、インド・西ベンガル州にて4団体のうち8名を対象に行ったインタビューの調査結果について報告する。調査結果から、専門学者と現地NGO職員の間には、レジリエンスの解釈に相違点が存在することが明らかになった。また分析により、最初に、団体間でのレジリエンスの理解に相違を見つけ、学者の研究を基に作られていたのは1団体だけだったとわかった。次に、3団体は活動の成果を評価するシステムを持っていたが十分ではなかった。よって、学者と現場職員がそれぞれの意見を共有し、学界や社会に貢献する場を設けることが必要であるとわかった。 |