卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名藤本 昌代 年度2023年度
タイトル女子大生が持つ就業継続志向とその要因分析
内容  近年、日本では女性の労働促進が進み、結婚や出産を経ても働き続けるというライフコースを選択する女性が多い。そのような社会の風潮の中、就職活動を経てこれから社会を担う存在である大学4年生の女子大生が、どのようなライフコースを望み、そしてどのようにそのライフコース像を形成してきたのだろうか。本稿では、女子大生の母親のライフコース、幼少期の生活における親との接触時間、女子大生の就職活動における行動、キャリアアップ指向などを調査した。また、それに対して女子大生の理想のライフコースがどのように関係しているのかを分析した。仮説検証・考察を通して、現代の女子大生が今後の自分のライフコースや働くビジョンを明確に持っていることを明らかにした。母親のライフコースをただ受け継ぐのではなく、「自分がどのように働きたいか」「どういうキャリアを歩みたいか」という点を現実的に考えて理想のライフコース像を形成している。しかし、女性の「育児と仕事の両立」は未だに課題が残されているといえる。この課題が今後どのように解決されていくのか、継続的な調査が必要だろう。
講評 本稿は近年の出産、育児期の女性の正規雇用の継続、育児と仕事の両立というワークライフバランスに関する政策、議論に対して、女子大学生がこれらの議論、政策に同意しているのか、あるいは、今も母親のライフコースに影響を受けているのかという問いを検証したものである。研究手法はオンラインアンケート調査である。その結果、現代の女子学生は母親のライフコースの影響を受けておらず、出産、育児期になっても仕事を正規雇用で継続するという政策推進の中で述べられている通りの意識を抱いていることが明らかになった。本調査から家族内の価値規範の継続性より、繰り返し述べられるメディアでの女性の働く権利、保育園問題などの影響が強いこと、そして、現代の若者は共働きでなければ経済的に厳しいという認識を抱いていることが明らかにされた。本研究は、コロナ禍前の女子学生の意識調査を行った先輩たちの結果とは異なり、2023年の女子学生たちは専業主婦、パートタイマー主婦という育児規範優先の母親のライフコースを踏襲しないことを選ぶ世代であることを示した重要な記録と言えよう。
キーワード1 女子大生
キーワード2 就業継続志向
キーワード3 ライフコース
キーワード4
キーワード5