学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 藤本 昌代 | 年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|
タイトル | 塾講師のアルバイト ?大学生へのインタビューから- |
内容 | マイナビ(2021)の調査から、大学生全体でアルバイトをする目的は小遣い稼ぎである。しかし、塾講師は平日の夜が主に働く時間であるため、小遣い稼ぎに向いていないと推測できる。塾講師には、収入が低くても働きたいと思える他のアルバイトでは感じることができないやりがいや充足感があるのではないかと筆者は仮説を立てた。塾講師の経験を持つ9名の大学生にインタビューを行った結果、収入への満足度は低い傾向があるとわかった。やりがいは生徒の成長や生徒との会話など、生徒との関わりの中で発生するものが多く、生徒との人間関係の満足度も高い傾向が明らかとなった。塾講師の大変な部分としても、人間関係が挙げられ、生徒とコミュニケーションを取ることの重要性が見受けられた。塾講師を続ける要因として、やりがいのような積極的要因だけでなく、塾に対する自身の貢献度が大きいためやめられないや、生徒を次々と担当しなければならないため辞めるタイミングがないので続けているといった消極的要因も明らかとなった。 |
---|
講評 | 本稿は大学生が塾講師を辞めない理由を検討した論文である。塾講師は「働きがい搾取」と言われがちな職種の1つであり、授業準備などの時間を含めると決して時給は高いとは言えず、経済的利益目的では続けられない職種である。研究手法は塾講師を継続している大学生、やめた大学生などへの聞き取り調査である。本稿では、塾講師が過重労働をしている点や経済的には飲食店などのアルバイトの方が効率がよいことなども明らかにされており、また、やめない消極的な理由として、「働きがい搾取」ともとれる、塾での貢献度の高さ故に「やめられない」という状況を見出している。そして、大学生が塾講師がやめない積極的な理由に職場の人間関係が大きいことが示されている。本稿で注目すべきは、人間関係が3つの領域に分かれており、1つめは塾のスタッフとの人間関係、2つめは塾の生徒との人間関係、3つめに生徒の両親との人間関係があることを発見した点である。特に生徒との関係が重要であり、「教師-生徒」としてだけでなく、友人として、よい関係性を構築している大学生が継続を望むことを見出している。本稿は「職場の人間関係」とマクロな分析をされがちなものを丁寧にその内容まで分析している点が優れているといえよう。 |
---|
キーワード1 | 塾講師 |
---|---|
キーワード2 | アルバイト |
キーワード3 | やりがい |
キーワード4 | 人間関係 |
キーワード5 |