卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名吉田 亮 年度2016年度
タイトル1980年代~1990年代倫理的消費を巡る一考察-イコールエクスチェンジによるフェアトレード運動
内容 本稿では、1980年代から1990年代を中心に、アメリカ社会におけるフェアトレードはどのような意味合いを持ち、どういった影響を与えたのかを論じている。先行研究では、フェアトレードの仕組みに関するものが多く、フェアトレードがアメリカ社会に及ぼした影響のひとつとして、消費者の意識や行動の変化の要因に関して研究がなされてこなかった。その為、アメリカにおける代表的なフェアトレード団体であるイコールエクスチェンジの活動を追っていくことで、アメリカ社会におけるフェアトレード活動が、どのような影響を与え、展開していくのか、また、その活動に対する消費者の反応を明らかにした。第一章では、1980年代から1990年代におけるアメリカ社会と経済状況、フェアトレードの流れ、当団体に関する情報について述べ、第二章では1980年代、第三章では1990年代の当団体の活動記録を追い、大衆新聞で得たフェアトレードに対する意見を取り上げ、当団体のアメリカ社会への影響の分析を行った。 
講評 本稿は、リベラルと保守派によるイデオロギー衝突が国政・外交政策を左右する時期におけるフェアトレード組織とアメリカ社会の関係性について、アメリカの代表的フェアトレード組織であるイコールエクスチェンジによる当該時期の活動と世論を反映する新聞『ニューヨークタイムズ』に表れたフェアトレード観の相関性を分析した研究である。フェアトレードの考え方と手法が従来の自由貿易にみられない平等性を体現するものであることはよく知られている。本研究はそうした理念的な側面ではなく、実際にアメリカ社会の消費者が形成する意識や行動に及ぼす変化を、上記の具体例を丹念に分析することで明らかにしようとしたものである。イコールエクスチェンジによる多様な活動を通じて倫理的消費の志向性が消費者に浸透し、90年代後半期における意識変革の一助となったことを『ニューヨークタイムズ』の記事から分析しているところは大いに評価すべきである。
キーワード1 フェアトレード
キーワード2 倫理的消費
キーワード3 イコールエクスチェンジ
キーワード4
キーワード5