学科 | 社会福祉学科 | ゼミ教員名 | 木原 活信 | 年度 | 2012年度 |
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タイトル | 中途障害者の障害受容に関する人間存在分析 ~属性の解放と存在の構築~ |
内容 | 人は受傷によって,今までの現実とは異なる現実の受容を余儀なくされる.今まで自分が創り上げてきた人生という物語から突如切り離された受傷後の現実を,再び人生という物語に連結するためには,各々の中途身体障害者自身が主観に基づき仮構する世界における重要な他者,即ち共存在(Mitsein)の存在自体が重要になる.また,障害受容は受傷体験の意味づけによって可能になり,その意味づけは過去,現在,未来における自己に対する認識を必要とすることから,時間に関する分析も障害受容を考察する上で欠かせない鍵概念であると考えられる.中途身体障害者がその主観に基づき仮構する世界における共存在(対人援助専門職を含む)との関係性,環境世界(Umwelt)への接近の困難さ,時間性,霊性,障害に対する意味づけを複合的に分析することを通して,障害受容とは何かを開示することが可能になる. |
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講評 | 「人は受傷によって,今までの現実とは異なる現実の受容を余儀なくされる.今まで自分が創り上げてきた人生という物語から突如切り離された受傷後の現実を,再び人生という物語に連結するためにはどうすればよいのか」―本稿はこのような先鋭な問題意識にたって議論した哲学的な福祉論文であった。抽象度の高い難解表現があり、彼自身が主張したい真意を十分に表現しきれたか否かは別として、日本語以外の洋書など難解な専門書を十分に駆使し、それを踏まえて、「中途身体障害者がその主観に基づき仮構する世界における共存在(対人援助専門職を含む)との関係性,環境世界(Umwelt)への接近の困難さ,時間性,霊性,障害に対する意味づけを複合的に分析」できた点は、学部生レベルの想定を超えており高く評価できよう。ただし霊性のあたりの議論はまだ稚拙な面があり練られた議論とはなっていないが、障害受容とは何かを障害当事者自らが開示することが可能性への一つの扉を開けかけているのではないかと感じた.今後は大学院で更にこのあたりの議論をもっと深めてもらいたい。 |
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キーワード1 | 世界 |
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キーワード2 | 時間 |
キーワード3 | 意味 |
キーワード4 | |
キーワード5 |