卒業論文詳細

学科社会福祉学科 ゼミ教員名木原 活信 年度2013年度
タイトル依存症として捉えた自傷行為者の 理解と支援 ―思春期・青年期特有の 生活のしづらさに着目して―
内容  現在、思春期から青年期における約1割が自傷行為を経験している。しかし自傷行為は疾患として定義されておらず位置づけも曖昧で行為自体の支援介入が困難である。
 思春期・青年期に広く見られる「新世代の自傷」は通常一過性で転機は良好であるとされているが、自傷は精神的苦痛を緩和させることから繰り返すことも多く、その嗜癖性を本論では自らの意志で断ち切ることが困難な依存症として捉えている。そして依存が社会生活に影響を及ぼし生活のしづらさを抱えていくことになる点に着目し、自傷者が社会の中で居場所を作り依存と向き合いながら生きていくためには自傷行為の自助グル―プを設けることが重要ではないかと考えた。支援を行うには自傷者本人の受容、周囲の理解が必要であり、さらにここで述べる自助グループとは思春期・青年期という年代や特性を配慮した場であることを前提にし、支援者が共に関わることが求められるということを明らかにした。
講評  筆者は、自傷行為という難しいテーマに、一貫して取り組み、文献からだけでなく、実際の若者や学校現場から生の声を取材するなどを反映させてこの論文に明らかにした。筆者によると、現在、思春期から青年期における約1割が自傷行為を経験しているにもかかわらず、その自傷行為への理解が十分ではなく、また疾患としても明確に定義されておらず、その曖昧さもあって支援や困難であると指摘している。
 本論文の特徴は、その自傷行為を嗜癖性の関連で分析し、「意志で断ち切ることが困難な依存症として捉えている」という点は特筆すべきであろう。そして自傷者自身の「居場所を作り」として自助グル―プを設けることを提言している。そして思春期・青年期という年代や特性をから支援者が共に関わることが求められると結論づけた。この支援のなかに、ソーシャルワーク的課題が内在されているのであろう。結果的に、よくまとまった力作となった。文章表現力も抜群である。
キーワード1 自傷行為
キーワード2 依存症
キーワード3 思春期 ・ 青年期
キーワード4 自助 グループ
キーワード5