内容 |
近年,障害児支援はようやく,目が向けられ様々な支援が整ってきた.しかし,障害児を抱えている親,きょうだい(本論文では兄弟と姉妹の双方を指す言葉としてひらがな表記の「きょうだい」を使用する)
の支援はされているのだろうか.注意欠陥多動性障害は目には見えないけれど,できないことがたくさんある「障害」だ.そのことを周りの人々に理解してもらうまで,また親やきょうだいも理解し,受けとめるまでさまざまな苦労がある.本論では,この様な障害を抱えている家族のこれまでものエピソードを聞き,成長過程を追っている.
第2章ではADHDがどの様な障害かということを解説している.目にみえない障害だからこそ誤解されやすく,偏見が生じる.本論を通じて正しい知識を知ってもらう必要がある.第3章では,ペアレント・トレーニングの事をとりあげている.これは,親子関係の悪循環がおこってしまわない為に,親が自分の子どもの障害について学習し,適切な対応ができるようにトレーニングをすることである.第4章では,実際にADHDという障害を抱えている家族にインタビューをしたものである.家族にしかわからない喜びや苦悩を聞き,家族の成長過程を聞いたものである.
今後もたくさんの困難にぶつかると思うが,少しでも多くの人にADHDという障害を理解してもらい,また,支援法も整え,障害を抱えている家族が安心して暮らせるような社会になることを期待している.
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