内容 |
一人暮らし高齢者の「孤独死,孤立死」が社会的に知られている問題となったのは,高度成長に伴って核家族化が進行した1970年代からで,その後も同じような出来事が起こり,たびたびマスコミに取り上げられてきた.その「孤独死,孤立死」が今古くて新しい社会問題となっている.ひとりで死ぬ(誰にも看取られずに死ぬ)ことに問題があるのではない.また,死亡してから発見までの日数でもない.社会的に孤立して死亡したことが問題なのである.つまり,孤独死する以前の生活状態がどうであったのか,なぜ孤独死という死に方をしなければならなかったのか.その背景にあるものは何かを明らかにすることが重要である.孤独死の実態から「生」に注目することである,つまり,今住んでいる地域で暮らし続けるために,地域に何が必要かを探求し,今後の地域のあり方を検討することこそが求められている.新聞や郵便そして牛乳の配達,ゴミだしをしたかなどを日常生活の中で定期的に見に行く,そして,助けを求めている人を発見する環境を作ることも考えられる.援助者だけではなく,本人が「支援を受ける力」「SOSを発信する力」,つまり,「受援力」を持つということである.自立ばかりを追求するではなく,上手な依存も大切である. |