卒業論文詳細

学科社会福祉学科 ゼミ教員名黒木 保博 年度2015年度
タイトル障害児福祉と出生前診断―障害児の出生のこれからを考える―
内容 2013(平成25)年4月に開始した「新型出生前診断」によって,妊婦はより簡単に,胎児の異常の有無を知ることが可能となった.朝日新聞によれば,新型出生前診断を受け,陽性の確定診断が出た人の約95%が「中絶」という選択をしている.本来,出生前診断とは胎児の病気を早期に発見し,胎内で治療を行うことや,出産後の治療に備えること,環境を整えることを目的として行われるものである.しかし,出生前診断を受けることが「命の選別」につながっているのが現状だ.出生前診断の結果から,「中絶」を選択しているのは妊婦やその家族であるが,その選択は障害者に対して抱いているイメージや周囲の理解,関係などあらゆるものに影響されている.出生前診断における決定を個人の問題ではなく,社会全体の問題としてどのように考えていくべきか,どのような支援ができるのか考察していく.
講評 1, 18名の提出であった。
2, 例年通りにゼミでの発表内容も含めての「卒論作成準備」は、二極化した。設定と文献収集リストは、ほぼ一斉にでてきたものの、卒論作成への熱意?や積極性で「格差」が出てきたと思われる。
3, 着眼点については、各自の問題性・課題について、自分の思いと証しからよく理解できた。
4, 論旨の明快性(一貫性)、構成力に関しては、よくできている論文が多かった。10, ゼミでは常々「激励」の意味を込めて伝えてきたことがある。卒論作成過程と提出できた卒論内容こそが大学生時代の学びの集大成である。講義科目はいわば「受動的姿勢」で良かったが、卒論作成は主体的、能動的に創り出していく姿勢が問われた。4年間の学んだ知識、読破した書籍、論文から得た内容や理解力、実習などでの経験、日頃からの情報収集力の集大成である。
6, すなわち各自の「福祉の視点」が明確になっているかが問われることになる。
各自のいろいろな動機から徐々にテーマを絞り、文献や資料を集め、これを読破・分析・整理して、自分の仮説を導き出し、それを論証するために論文を書いたという事実が、卒論の成果として残ったと思う。多くのゼミ生は自分自身との戦いであったと思う。苦しい思いをしながら作成作業をした。多くの人はこのような長文を書くことは今後の人生においては経験しないであろう。自分はあの卒論を書き上げたのだという自信だけはもって卒業して欲しい。もちろん、自分に厳しく自分を鼓舞して作成に立ち向かった人と、できるだけ自分との戦いは消極的で調整しながら作成した人とに区分できるかもしれない。

キーワード1 出生前診断
キーワード2 障害児福祉
キーワード3 人工妊娠中絶
キーワード4
キーワード5