学科 | 社会福祉学科 | ゼミ教員名 | 空閑 浩人 | 年度 | 2016年度 |
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タイトル | コミュニケーションにおける傾聴の重要性-会話で人を支える- |
内容 | 三年次に社会福祉協議会で実習を行った際、日替わりで様々な活動に参加する中で、市民との距離の縮め方に戸惑った。参加を続けているうちに、職員の行動や表情、話を聞く姿勢が他の人とは違っていることに気が付いた。「笑顔でうなずきながら相手の話に集中して聴くこと」で、市民は「心にはあるけれどなかなか口にできない想い」を次々口にしていた。この経験から、傾聴とはコミュニケーションをとるだけでなく、相手が思っていることを引き出したり、相手の気持ちを軽くしたりすることに役立つのではないかと考えた。 本稿では、実習で感じた「居場所づくり」としての救いだけでなく、傾聴によって命を救うことが出来ることも取り上げる。また、傾聴によって受け取ったSOSを他機関に繋げることが出来ること、的確なコミュニケーション・キャッチボールを行うために、相手の話を的確に受け取るための傾聴など、すべての援助の根本であることにも触れる。 まず初めに三年次、実習先で自身が影響を受けた「距離を縮める傾聴」「ファシリテートとしての傾聴」を紹介する。また、傾聴による支援とはなにか、傾聴による効果はどんなものがあるのか、実際の例を交えながら述べる。次に、電話で悩みを相談できる「いのちの電話」や、阪神淡路大震災での傾聴ボランティアの例、東日本大震災で、共感が人の心を動かした例を挙げ、傾聴によって救われた人々を追う。最後に、傾聴の重要性を再度述べる。聴くことに心が動かされるのはなぜか、言葉をかけることやアドバイスより、傾聴によって心が動かされるのはなぜかを考察する。また、傾聴は自殺予防に役立つかということや、傾聴はすべての援助の根本だということについいても考察する。最後に、傾聴の心構えについても考察する。 |
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講評 | 本論文(「コミュニケーションにおける傾聴の重要性-会話で人を支える」)は、社会福祉援助の実践で重要視される「傾聴」について、一から考察し直した論文である。特別養護老人ホームでの実習経験を踏まえ、支援の場面での傾聴の意義が筆者の言葉で語られる。聴くことそのものが支援であるということを深く考えさせられる論文である。 同志社大学空閑ゼミ第13期卒業生となった今年度のメンバーは、17名が無事に卒業論文を提出した。非常に多彩なテーマがそろったが、いずれのテーマも、社会のなかで、あるいは地域の一員として「人が生きて、生活すること」にかかわる社会福祉の学びにおいては、避けることの出来ない非常に重要な課題である。同時に、非常に「重い」そして「深い」課題でもある。ゼミメンバーの卒業論文を通して、社会福祉研究における対象の広さ、深さや多様性、そして様々なテーマの相互のつながりと関連性、個人が体験する生活問題に対する社会的かつ構造的なまなざしの大切さに、改めて気づくことができた思いである。 卒業研究とその成果としての卒業論文は、メンバーによって、確かに出来不出来はある。もう少し早くから取り組んでいたら、もう少し多くの文献を読み込んでいたら、もう少し考察を深めてくれたら、もう少し丁寧に調査ができていたら、などと思う論文もある。しかし、「学問」の営みはこれで終わるわけではない。卒論の完成は、新たな問いや学び、考察への出発点でもある。4月以降もそれぞれの新しい場所で、「問い」続け、「学び」続け、そしてその問いや学びを誰かと(もちろん私も含めて)共有して行って欲しい。 |
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キーワード1 | 傾聴 |
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キーワード2 | コミュニケーション |
キーワード3 | いのちの電話 |
キーワード4 | 傾聴ボランティア |
キーワード5 |