内容 |
刑務所等の矯正施設を出所した者による累犯・再入所割合の増加が年々問題視されている。2015年度においては、その年に刑務所へ入所した者の約4割が再度の入者を行った者であった。彼らが累犯・再入所を繰り返す動機・背景は様々であり、一概にこの問題への解決を試みることは困難である。しかし、彼らを取り巻く既存の社会復帰支援制度に注目し出所者の累犯・再入所問題を考察していくと、現在本国がこの問題に対して抱える課題が見えてくる。世間の常識は刑務所の非常識であるとの揶揄がなされるほど、矯正施設と一般社会とのギャップは大きく、出所者のみの努力で一般社会での生活に移行していくことは困難なことから、彼らを取り巻く支援制度の存在が非常に重要である。しかし、既存の制度がどの程度対象者の立場に寄り沿い運用され、また彼らの継続的な社会復帰の実現に際しどれほど効果を示しているのかについて考えると、現在の累犯・再入所率の高さからそれぞれに関し疑問が残るところである。本レポートは、出所者の長期的な社会復帰を阻害している要因について主に、受刑前後の彼らを取り巻く社会復帰制度の側面からアプローチを行いまた、そこから浮かび上がった課題についての考察を行ったものである。 |