内容 |
本稿は、児童虐待増加等の様々な背景による要保護児童の増加に伴い、ますます社会的養護の重要性が叫ばれる現状を踏まえつつ、主に里親・児童養護施設で行われている具体的な支援やケア、実際に社会的養護で育った子どもたちの事例を取り上げながら、“子ども目線”に基づいたこれからの社会的養護の在り方を考察したものである。社会的養護の理念である『子どもの最善の利益のために』『社会全体で子どもを育む』を実現するため、要保護児童が増加している現状の中、日本では施設の小規模化・家庭的養育推進などの改革が行われている。その一方で、要保護児童の大半が大舎制の施設に委託されるのが現状である。児童養護施設では心理士や栄養士等と連携するチームアプローチ等、職員が一丸となって子どもたちを育てる体制がとられているが、実際に施設で育った当事者の声としては、集団生活への不満や職員への不満があった。その一方、里親養育では1対1のコミュニケーションが実現されやすいことは大きなポイントであるが、相性が合わない等の理由で里親家庭を転々とするなどの事例もあり、それが大きな子どもの負担となるリスクも伴うため、里親委託をすれば子どもは幸せというわけではない。 |