内容 |
本稿では、日本の社会福祉において市場化がどのような働きを見せるのか、ということについて考察していく。社会福祉法人の形成と、それに伴う日本における福祉の軌跡を踏まえながら、市場化による日本の福祉が抱える課題の克服の可能性を追求する。初めに、市場化という概念ついて説明し、市場化が他分野においてどのような発展をもたらしてきたかについて述べる。そして、社会福祉法人の形成と役割について述べ、今日における日本の社会福祉がどのように動いているのか、ということを説明する。また、民間企業の参入がもたらすメリットとデメリットを考察する。また、社会福祉法人と営利企業の関係性について考える。それぞれがどのような特性を持っているのか、そして福祉という分野で両者が共存していくことができるのか、ということを考察する。次に、日本の社会福祉が抱えている問題を明確にしていく。福祉サービスの利用者が抱える問題は多く、例えば地域によって施設数に偏りがあるため、均等にサービスを受けられない人がいる。また、福祉従事者が抱える問題も多く、現に介護職などの福祉職における離職率はかなり高く、仕事場や給与に対して不満を持つ職員はかなりの数に上る。最後に、利用者や福祉従事者が抱える問題や不満を、市場化の導入によって改善できるのではないか、という仮定をもとに、市場化がどのように作用するのかについて考察していく。また、準市場の導入についても述べ、どのような効果が期待できるかについての考察を行う。利用者と職員が対等な立場にあり、お互いが満足できる環境を作るにはどうしたらいいのかという観点から、市場化や準市場によって日本の社会福祉が抱えている課題がどのように解消されるのか、ということを考察し、論じていく。
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