卒業論文詳細

学科社会福祉学科 ゼミ教員名埋橋 孝文 年度2019年度
タイトル多発性硬化症を抱えて生きるという体験の隠喩としての病い  ―難病女性の語りの分析を通してー
内容  本研究は、多発性硬化症(Multiple Sclerosis; 通称MS)を抱えて生きるという体験における、病者にとっての「隠喩としての病い」(スーザン・ソンタグが批判した「隠喩として使われる病気のイメージ」)とは、1.何を指し、2.どのような影響を及ぼし、3.どのように認識され移り変わってゆくのかを課題とした。病者の病気認識(病気の捉え方)の解明を研究目的とし、専門家―素人間の円滑な意思疎通への示唆を得ることを意義とする。MSは、日本では認知度の低い神経難病である。1990年代前半に発病し、後に、病気の情報発信を目的とする患者会の代表者である女性と母親に、インタビュー調査を実施した。難病である状況下に適応していたこと、MSにおける「隠喩としての病い」とは「病者自身が抱く難病イメージ」であり、無意識的な自己実現の限界設定がなされたことが、明らかになった。要因として、馴染みがなく、「難病のなかの1つ」という理解の仕方がなされたと考察する。
講評 『同志社福祉研究』に全文掲載されているので皆さんに直接読んでほしい論文である.多発性硬化症の病者を事例にして「隠喩としての病」(スーザン・ソンタグ)を深く考察している.同志社大学東京オフィスでの3回にわたるインタビューなど,多大な時間と努力を注ぎ込んだ成果である.
キーワード1 神経難病
キーワード2 病いの語り
キーワード3 隠喩としての病い
キーワード4 難病イメージ
キーワード5 病いへの適応