学科 | 社会福祉学科 | ゼミ教員名 | 鈴木 良 | 年度 | 2022年度 |
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タイトル | 発達障害児の普通学級におけるインクルーシブ教育のあり方について ~自閉症児の母へのインタビュー調査から~ |
内容 | 2006年に国連総会にて「障害者の権利に関する条約」が採択された。国内においても、2012年には「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」が文部科学省により明示されている。インクルーシブ教育を推進する潮流の中で、実際の教育現場の中ではどのような問題が挙がっているのか、またそれを解決する資源はどのようなものがあるのか、自閉症の子を持つ母へのインタビュー調査を通じて明らかにすることを目的とした。 調査の結果、保育士や教員やカウンセラー、病院の先生など専門職に相談ができ、問題が起これば対処してくれる体制であった。また、通級指導教室や療育施設も活用し、児童への適切な療育ができる環境が整っていた。心配事はあるものの、高校生の現在に至るまで大きな問題はないようだ。ただし、教員の理解度の差という問題もあった。 |
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講評 | 本研究は、自閉症児の母へのインタビュー調査に依拠して、発達障害児の普通学校・普通学級でのインクルーシブ教育を可能にするためにはどのような資源があるのか、あるいは、課題があるのかを明らかにしたものである。 2006年に国連総会において、障害者権利条約が採択された。日本も2013年にこの条約に批准しており、文部科学省はインクルーシブ教育システムという名称の体制を構築しはじめたのもこの時期である。こうした中で、先行研究では、インクルーシブ教育現場の様々な課題が指摘されており、解決策を明らかにすることが社会的な課題となっている。 この調査研究を通して、保育士・教員やカウンセラー、病院の医師などの専門職に相談できる体制が必要であること、通級指導教室や療育施設などの学校外の社会資源を活用すること、教員の理解度を向上させることが明らかにされた。 本研究の意義は、小学・中学、そして高校と普通学校・普通学級に通い続けた発達障害児の母にインタビューを実際に行い、その成果をまとめた点にある。このような当事者及び家族にインタビューをすること自体がとても貴重であった。インタビュー結果についても、3年次に比較するとスムーズにコーディングされていて、調査論文を書くことに慣れてきたように思われた。このインクルーシブ教育を実現させるための課題の抽出という研究テーマは、権利条約批准後の日本においてとても重要な課題になっている。引き続き、このテーマについて考え続けてもらいたい。なお、今回は母親へのインタビューをまとめているが、子どもに対してもインタビューを行っているのが実情である。今後は、この子どもへのインタビュー結果もこの論文に反映させてもらえれば、とても貴重な論文になると思われる。 |
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キーワード1 | インクルーシブ教育 |
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キーワード2 | 自閉症 |
キーワード3 | 発達障害児 |
キーワード4 | インタビュー調査 |
キーワード5 | 普通学級 |