卒業論文詳細

学科社会福祉学科 ゼミ教員名木原 活信 年度2023年度
タイトル医療的ケア児のきょうだい児を中心とした家族支援の重要性 ―民間と行政の支援体制を比較して―
内容  医療の高度化に伴い医療的ケア児が増加していることを背景として、医療的ケア児やその家族に対する支援の必要性が叫ばれ、その動きの中で2021年に医療ケア児及びその家族に対する支援に関わる法律が施行された。しかし、本論文でその法律について検討した所、家族の支援が明言されている先進的な法律である一方、成立背景には、保護者の負担が大きいことや母親の離職率が高いといった問題があるため、家族=保護者としての意味合いが強くならざるを得ず、きょうだい児の視点の反映には至っていないことが明らかとなった。そして、医療ケア児支援法の元で行われている行政支援と民間で行われているきょうだい児支援を比較し、法律の問題点や、それに伴う行政の支援体制の問題点を民間支援が補っている状況であり、画一的な支援を提供するためには保護者の視点だけでなくきょうだい児の視点も取り入れた家族支援が行政でも重要になると結論付けた。
講評 本論文では、医療的ケア児やその家族(きょうだい)に対する支援を緻密に議論したものである。2021年に医療ケア児及びその家族に対する支援に関わる法律が施行されたが、その法律で、家族の支援が明言されているが、法律の運用に際する諸課題を指摘する。成立背景にある保護者の負担が大きい(母親の離職率が高さなど)といった問題があるため、家族=保護者としての意味合いが強くならざるを得ず、きょうだい児の視点の反映には至っていないことを論理的に丁寧に論考した。そして画一的な支援を提供するためには保護者の視点だけでなくきょうだい児の視点も取り入れた家族支援が行政でも重要になると結論付けた秀作である。文章表現もよい。今後、論文で得た知見をもとに訓練されたソーシャルワーカーとして磨きをかけ、更に実践課題を応用していってもらいたい。
キーワード1 医療的ケア児
キーワード2 きょうだい児支援
キーワード3 家族支援
キーワード4 医療的ケア児支援法
キーワード5