卒業論文詳細

学科社会福祉学科 ゼミ教員名鈴木 良 年度2023年度
タイトル地域住民に寄り添ったまちづくりについての一考察 ~釜ヶ崎・あいりん総合センター建て替えへの住民反対運動から~
内容  あいりん地区に暮らす路上生活者らの居場所となっていたあいりん総合センターだが、街の活性化やイメージアップを目的とした西成特区構想の政策に伴い、2019年に閉鎖された。しかし、シャッター前は、現在も閉鎖に反発する路上生活者らによって占領されている。
そこで本論では、あいりん地区の再開発が進められる中で、まちづくりに対して地域住民が不安を感じる要因となったことを明らかにし、地域住民に寄り添ったまちづくりとは何かを明らかにした。
 この結果、不安が生じた要因として、1)センター建て替え後の具体的な活用ビジョンが公表される前に閉鎖が行われたこと、2)仮施設の環境整備が不十分であったこと、3)強制的手段により行政への信頼が薄まったこと、の3つが関係していることが明らかになった。その上で、社会的弱者を排除せず、全員にまちづくりに参加する権利が平等に与えられる形態こそが地域住民に寄り添ったまちづくりであると考えられた。
講評 この研究は、大阪市あいりん地区の再開発が進められる中で、まちづくりに対して地域住民が不安を感じる要因となったことを明らかにし、地域住民に寄り添ったまちづくりとは何かを明らかにしている。
この結果、不安が生じた要因として、1)センター建て替え後の具体的な活用ビジョンが公表される前に閉鎖が行われたこと、2)仮施設の環境整備が不十分であったこと、3)強制的手段により行政への信頼が薄まったこと、の 3 つが関係していることが明らかにされた。その上で、社会的弱者を排除せず、全員にまちづくりに参加する権利が平等に与えられる形態こそが地域住民に寄り添ったまちづくりであると示されている。
小川さんは子どもの頃に、あいりん地区をとおり、通学している。同級生の中には、NPO法人こどもの里で過ごした人もいる。2022年に鈴木ゼミ3回生で、この地区をフィールドワークしたときに、彼女から子どもの頃の経験についてお話をしていただいた。
小川さんがこのときの経験を契機に、あいりん地区の再開発問題をとりあげて、改めて自らが育った地域でどのようなことが起きているのかを整理し、分析してくれた。
地域住民に寄り添った街づくりというテーマは、社会福祉学においても重要だ。住民参加・参画は、社会福祉法が制定されてから一貫して重視されているが、常に、社会的に弱い立場に置かれている人々、とりわけ路上生活者はその機会から排除されてきた。小川さんの研究から改めて住民参画の意味について考えていく必要があるだろう。
キーワード1 まちづくり
キーワード2 あいりん総合センター
キーワード3
キーワード4 西成特区構想
キーワード5