卒業論文詳細

学科社会福祉学科 ゼミ教員名鈴木 良 年度2023年度
タイトル虐待経験に伴うトラウマを抱えた子どもへのアドボカシーについての一考察
内容  近年、日本では虐待問題が社会問題となっている。虐待の中でも児童虐待は毎年件数が増加しており、児童虐待に対する社会全体の関心が高まっている。
 児童虐待に対する意識が高まる中で、子どもの権利・アドボカシーといった視点も注目されている。子どもの権利条約の締約や児童福祉法の改正など、国際的・国内的にとりわけ意思表明権といった子どもの権利を保障するとともに、権利を剥奪されている状態の子どもへのエンパワメントやアドボカシーを行う取り組みが各地で展開している。
 本研究では、虐待経験によってトラウマを抱えた子どもの権利回復・保障のためのアドボカシーについて、先行研究や自分史を用いた事例研究を用いて分析した。この結果、1)当事者の感覚での虐待認識を重視し、2)子ども達をエンパワメントし、彼らによる意思表明権の行使を支援することが必要であることが明らかになった。
講評 本研究は、虐待経験によってトラウマを抱えた子どもの権利回復・保障のためのアドボカシーについて、先行研究や自分史を用いた事例研究を用いて分析されている。
この結果、1)当事者の感覚での虐待認識を重視し2)子ども達をエンパワメントし、彼らによる意見表明権の行使を支援することが必要であることが明らかにされている。
近年、児童福祉法の改正と共に、子どもの権利・アドボカシーが注目されている。国際的・国内的にとりわけ意思表明権といった子どもの権利を保障するとともに、権利を剥奪されている状態の子どもへのエンパワメントやアドボカシーを行う取り組みが各地で展開されている。こうした動向において、小川さんの研究は、重要な研究データを提示する。
とりわけ、この研究では、自分史という手法で、自らの生い立ちに関わる経験から子どもアドボカシーの必要性を分析し、提示している。研究とは、第三者が行うものだけではなく、まさに当事者が自らの生活史を分析することができるものである。自らの生きてきた歴史には、社会福祉学の観点から重要な意味が埋め込まれており、それを拾い出し、客観的なかたちで提示することには一定の意義がある。
日本は、子どもの権利、特に意見表明権が擁護されているとは言い難い。彼らの権利を擁護する社会的仕組みを創出するために、この研究が重要な示唆を与えてくれている。
キーワード1 児童虐待
キーワード2 トラウマ
キーワード3 アドボカシー
キーワード4 自分史
キーワード5