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2009年9月16日,日米間の「密約」問題の解明を岡田克也外相(当時)が調査を外務省に命じた。外務省の有識者委員会もいわゆる「密約」があったことを認め,また東京地裁も2010年4月密約の存在を認定した。「密約」問題は,新聞の一面にも掲載され,世間の関心を大きく集めた。「密約」問題は過去に一度,西山事件として注目を集めているが,記者の逮捕でメディアは「知る権利」の追求をやめ,密約は今まで否定され続けてきた。
密約は民主主義社会において認められるものだ。密約が市民にとって有益であるためには,後世に説明責任がとれる必要がある。密約は後に明らかにされて,検討されることが不可欠である。秘密を認めるのならば,その管理や公開についても認められなくてはいけないからだ。
密約公開についてのメディアの役割は,密約が結ばれた当時,利益をもたらすものであったとして,現在においてもう一度検証することだと考える。今回の密約問題の報道では,存否が目的となり,日本の安全保障など国民的な議論を必要とする「密約」問題の本質を指摘出来ただろうか。密約のあり方とともにメディアがどうすれば国民に議論を喚起出来るかを考察した。
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