学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 渡辺 武達 | 年度 | 2013年度 |
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タイトル | 『東京家族』から見る家族イメージ~『東京物語』と比較して~ |
内容 | 「家族」は東日本大震災以降、その価値観が変わってきており、改めて「家族」について考えることは有用である。とくに映画では「家族」をテーマにしたものは多く、そこから「家族」を知ることが出来る。序章では、家族に対する考え方を述べ、今回の研究の目的を示した。第二章では、研究の準備として家族の定義、映画を調べる事への有用性、また、『東京物語』と『東京家族』の関連性と比較する理由を示した。第三章では、『東京物語』と『東京家族』が公開された当時の社会とストーリーの関連性を検証した。『東京物語』は戦後、日本にて生じた核家族化、先祖が住んでいた土地への地縁性の崩壊等の社会的出来事を描きだし、そこから生じた親子関係の変化を描き出した。『東京家族』はその60年後の社会を描き、次男がフリーターとして働くなど、現在の不況を描き出したり、東日本大震災に関連するストーリーになっていたりとより現代社会を背景としたシナリオになっていた。第四章では、『東京物語』と『東京家族』の登場人物における変更点を検証した。特に次男とその恋人が時代を表す象徴的な描かれ方をしていた。第五章では、『東京家族』が描く現代の家族について考察した。親子関係、子供が抱える課題、高齢化に対する家族の対応を調べた。結果として、『東京家族』は現代の家族を象徴的に描いているという事が実証できた。 |
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講評 | 阪神淡路大震災のときもこんどの東日本大震災でも、家族の絆の大切さが再認識された。筆者は「家族」というものが日本の映画の中でどのように描かれてきたかに注目し、60年を隔てて作られた『東京物語』と『東京家族』の2つの映画からその実像と変化を知ろうとした。そこから「時代の変化によって、核家族化、先祖が住んでいた土地への地縁性の崩壊等の社会的出来事等から生じた親子関係のあり方と変容過程などを発見した。映画から時代を読み解く試みとして注目できる論文であり、メディア学科卒論としてのレベルをクリアしている。 【2013年度生全体への講評】 私、渡辺武達担当の2013年度卒業論文提出者は全25名で、全員の卒論が①提出期限、②テーマとキーワードの設定、③構成、④内容、⑤字数などの各条件を満たし、メディア学科生の研究成果として合格点に達していたと判断した。また提出後のゼミ恒例卒論相互批判会にも全員が出席し、4時間にわたり十分な議論を行ったので、同志社大学社会学部メディア学科卒業生として認められる勉学成果を挙げたものであると認定した。しかし提出にいたるまでに問題がなかったわけではない。その第1は、年々、就職活動期間が長引くようになり、3回生秋学期から4回生秋学期前半まで卒論準備に十分な時間をかけることが出来ない学生が大半であったことである。これは大学だけでは解決できない問題を含んでいるが日本社会の教育環境確保という点から危惧すべき状況があるということである。第2に、その結果、卒論執筆完了が遅くなり、指導教授による添削時間が充分に取れず、きめ細かな指導が満足のいける程度まですることが叶わなかった状況が生まれているということである。しかしそうした厳しい環境にもかかわらず、卒論ゼミ登録学生はよく頑張ったと思う。 |
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キーワード1 | 映画 |
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キーワード2 | 家族 |
キーワード3 | 核家族 |
キーワード4 | 地縁 |
キーワード5 |