卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名渡辺 武達 年度2013年度
タイトルチュニジア革命におけるSNSの存在価値について
内容 SNSが社会でひとつのメディアとしてのなくてはならない存在になっていることを確かめる。そこで、「アラブの春」の発端となった「チュニジア革命」を取り上げ、SNSとの関わりを大きく2点にわけて分析する。1点目は、チュニジアでどのように革命が起きたかということだ。2点目は「チュニジア革命」が遠く離れた日本のSNS上でどのように描かれたかということだ。まず、チュニジア革命をアラブの春の影響を受けた他国の民主化運動と比較することで、分析した。その結果、SNSはマス・メディアなきマス・コミュニケーションを可能にして多くの人に情報を伝えたこと、共感を生んで人と人をつなげたこと、瞬間的な情報伝播力を活かし短期間でデモや抗議活動を行ったこと、ということに関わっていた。だが、人々を結束させた根源には国に対する共通の不満や国民の成熟度が大きく関わっており、民主化への準備が十分にできていた国であったことが革命を成功に導いた大きな要因であった。次に、日本のTwitter上でのチュニジア革命について分析した。その結果、マス・コミュニケーションをするには限界があった。また、SNSは能動的に情報を得るツールであり、利用者の関心や興味に大きく関わっていることが明らかとなった。今日、SNSはマス・コミュニケーションできるメディアとして単独で存在することはできないが、コミュニケーションツールとして独自の特徴を活かし、生活には欠かせないメディアとなっている。
講評 筆者はSNSが日本だけではなくグローバルな地平でなくてはならない存在になっていることを「アラブの春」の発端となった「チュニジア革命」を取り上げて実証しようとした。方法は①チュニジアでの革命の実相の解明②それが日本のSNS上でどのように描かれたかということへの着目と解析で、その結果、現地ではSNSによって非政府情報が短期間で人びとに伝えられ、それが共通の不満を持つ国民を行動へ駆り立てたこと、対して日本のTwitter上では系統的な情報提供や具体的な議論が希薄であったことを発見した。その結果、SNSそのものの特徴と限界が明らかになった。メディア学科卒論としてのレベルをクリアした卒論として評価できる。
【2013年度生全体への講評】
私、渡辺武達担当の2013年度卒業論文提出者は全25名で、全員の卒論が①提出期限、②テーマとキーワードの設定、③構成、④内容、⑤字数などの各条件を満たし、メディア学科生の研究成果として合格点に達していたと判断した。また提出後のゼミ恒例卒論相互批判会にも全員が出席し、4時間にわたり十分な議論を行ったので、同志社大学社会学部メディア学科卒業生として認められる勉学成果を挙げたものであると認定した。しかし提出にいたるまでに問題がなかったわけではない。その第1は、年々、就職活動期間が長引くようになり、3回生秋学期から4回生秋学期前半まで卒論準備に十分な時間をかけることが出来ない学生が大半であったことである。これは大学だけでは解決できない問題を含んでいるが日本社会の教育環境確保という点から危惧すべき状況があるということである。第2に、その結果、卒論執筆完了が遅くなり、指導教授による添削時間が充分に取れず、きめ細かな指導が満足のいける程度まですることが叶わなかった状況が生まれているということである。しかしそうした厳しい環境にもかかわらず、卒論ゼミ登録学生はよく頑張ったと思う。
キーワード1 SNS
キーワード2 マス・コミュニケーション
キーワード3 チュニジア革命
キーワード4 民主化運動
キーワード5