卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名渡辺 武達 年度2013年度
タイトルマイケル・ジャクソン報道~報道が作り出す人物のイメージ~
内容 我々の多くの情報源はテレビ・新聞・インターネットなどのメディアであり,それらを通して世の中の出来事や著名人の情報を得る。そして多くの人は,その情報を鵜呑みにする傾向がある。メディアによって偏った考えが多くの人々に広まった例として有名なのが,マイケルジャクソンに関する報道である。彼の肌は病気によって白く変化したにも関わらず「脱色している」と思い込んでいたり,奇人のイメージが強いという人々が多いことから,メディアはなぜ視聴者に誤解や偏ったイメージを与える情報を伝えるに至ったのか疑問に感じ,このテーマで報道の偏向について研究したいという思いに至った。第四章までは,実際に放送された番組からどのような情報が視聴者に伝えられたのか,またその報道による世の中の反応を述べる。第五章では,アンケート調査によるマイケル・ジャクソンのイメージ調査と,ファンの立場からのイメージ,二つの立場から報道が視聴者にどのような影響を与えてきたかを述べている。マイケルの生前と死後を比較すると,彼に関する報道内容の傾向に大きな差があり,視聴者にとっての彼のイメージも生前と死後とで大きく変化している。
講評 普通人の多くの社会情報源はテレビ・新聞・インターネットなどのメディアであり,それらを通して世の中の出来事や著名人について知ることが多いから、時として提供された情報を鵜呑みにしてしまいやすい。筆者はそのことをマイケル・ジャクソンの肌の色に関する誤った報道を通して検証した。彼の肌は「脱色」ではなく、病気によって白く変化したにも関わらず誤解が蔓延しているし、彼を奇人のイメージで描く報道も多く、筆者はそれを実際に放送された番組とそれらへの視聴者の反応によって考察した。またアンケート調査を実施し、本人のイメージ、ファンの立場からのイメージとの二つの立場での報道の影響について検討した結果、生前と死後で報道内容および視聴者にとっての彼のイメージも変化したことを実証的に述べた。メディア学科の卒論として高く評価できるものである。
【2013年度生全体への講評】
私、渡辺武達担当の2013年度卒業論文提出者は全25名で、全員の卒論が①提出期限、②テーマとキーワードの設定、③構成、④内容、⑤字数などの各条件を満たし、メディア学科生の研究成果として合格点に達していたと判断した。また提出後のゼミ恒例卒論相互批判会にも全員が出席し、4時間にわたり十分な議論を行ったので、同志社大学社会学部メディア学科卒業生として認められる勉学成果を挙げたものであると認定した。しかし提出にいたるまでに問題がなかったわけではない。その第1は、年々、就職活動期間が長引くようになり、3回生秋学期から4回生秋学期前半まで卒論準備に十分な時間をかけることが出来ない学生が大半であったことである。これは大学だけでは解決できない問題を含んでいるが日本社会の教育環境確保という点から危惧すべき状況があるということである。第2に、その結果、卒論執筆完了が遅くなり、指導教授による添削時間が充分に取れず、きめ細かな指導が満足のいける程度まですることが叶わなかった状況が生まれているということである。しかしそうした厳しい環境にもかかわらず、卒論ゼミ登録学生はよく頑張ったと思う。
キーワード1 偏向報道
キーワード2 イメージ形成
キーワード3 マイケル・ジャクソン
キーワード4 視聴者
キーワード5 ファン