卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名渡辺 武達 年度2013年度
タイトル日中三国文化の比較分析からみる両国文化の相違
内容 中国の歴史書陳寿の『三国志』、章回小説羅貫中の『三国志演義』、日本の大衆小説吉川英治『三国志』、そして三国マンガ、アニメの元祖の横山光輝『三国志』。違う国、違う媒体によるこの一連は変化を記録、比較、分析した。そうすることにより、三国人物の変わりつつある特徴から、日中文化の差異を三つにまとめた。それは、文化の受容程度の差異、再構築への考え方の差異、そして三国文化への価値観の差異。奸雄曹操、仁君劉備、忠義関羽、既成概念を抱く、道徳を永遠のテーマと考えるのは中国文化の中の三国志。一方、日本文化は個人に焦点を当て、主人公たちの夢の冒険物語と変身した。友情、勇気、成長、日本文化による再構築された三国志はまったく違う姿で現した。今なお語り継がれ、日本ではテレビや小説、劇画などで人気を博し、経済学のハウツーものにまで支持を保っている。その理由は日本文化の柔軟性と変容性にあると考えられる。
講評 筆者は中国の歴史書陳寿の『三国志』、章回小説羅貫中の『三国志演義』、日本の大衆小説である吉川英治の『三国志』、そして三国マンガ、アニメの元祖の横山光輝『三国志』について、相互に比較、分析した。そのことから日中文化の差異の原因を①文化受容過程②文化の消化と再構築③価値観の違いという3つの角度から考えることになった。道徳を永遠のテーマとする中国の三国志と個人に焦点を当て、主人公たちの夢の冒険物語ととらえる日本の三国志のそれぞれを、日本でのテレビや小説、劇画などの人気の背景としてとらえ、日本文化の柔軟性をそこに見た筆者の考察は学問的に面白い挑戦であり、メディア学科の卒論に相応しいすぐれたものである。
【2013年度生全体への講評】
私、渡辺武達担当の2013年度卒業論文提出者は全25名で、全員の卒論が①提出期限、②テーマとキーワードの設定、③構成、④内容、⑤字数などの各条件を満たし、メディア学科生の研究成果として合格点に達していたと判断した。また提出後のゼミ恒例卒論相互批判会にも全員が出席し、4時間にわたり十分な議論を行ったので、同志社大学社会学部メディア学科卒業生として認められる勉学成果を挙げたものであると認定した。しかし提出にいたるまでに問題がなかったわけではない。その第1は、年々、就職活動期間が長引くようになり、3回生秋学期から4回生秋学期前半まで卒論準備に十分な時間をかけることが出来ない学生が大半であったことである。これは大学だけでは解決できない問題を含んでいるが日本社会の教育環境確保という点から危惧すべき状況があるということである。第2に、その結果、卒論執筆完了が遅くなり、指導教授による添削時間が充分に取れず、きめ細かな指導が満足のいける程度まですることが叶わなかった状況が生まれているということである。しかしそうした厳しい環境にもかかわらず、卒論ゼミ登録学生はよく頑張ったと思う。
キーワード1 三国志
キーワード2 日本文化
キーワード3 比較分析
キーワード4
キーワード5