卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名渡辺 武達 年度2013年度
タイトルメディア的現実がうつしだす「女性らしさ」の変化
内容 今日「女性の社会進出」が声高に言われて久しい。現在は、法制度や社会常識においても「女性が活躍する」ということに違和感を持つ人は少なくなってきた。しかし、一方でわれわれの中には、「男女はやはり違うものである」という信念も残っている。なぜ現在でも女性に対する「性差別的な信念」が残っているように見えるのか。これに応答するため、本論では以下のように議論を進めていく。まず第一章ではこれまでのフェミニズムの理論をみていく。これは先行研究を見ることにより、歴史的に「女性抑圧の構造」がどのような面で行われてきたのかを確認するためだ。第二章では、第一章で得られた「女性抑圧の構造」は、近代の「家父長制」が大きな役割を果たしてきたことを詳しく見ていく。これは「家父長制」が現代にも残る、「女性抑圧の構造」の改革には大きな役割を果たせなかったことを指摘するためでもある。第三章では「現代にも残るジェンダー問題」と題して、フェミニズムの理論および運動を経てもなお残る現代の性差別を見ていく。これはおおきく、①女性側の問題、②男性側の問題、③メディアの女性像のとらえ方の問題、といったように三つに分けて論じていく。特に「メディアの女性像のとらえ方の問題」の先行研究を批判し、現代は徐々にではあるが「メディアにおける女性像」が変化してきていることを指摘する。最終章では、第四章から得られた「ディズニー・プリンセスにみる女性像の変遷」が今後の女性像の在り方になっていくことを指摘して本論を閉じる。
講評 筆者は男女の平等が言われて久しい今日でもなぜ女性に対する「性差別的な信念」が残っているのかという疑問から、その解消のためにメディアは何ができるのかを考えた。そのために①歴史的に「女性抑圧の構造」がどのような面で行われてきたのかを確認し、②「家父長制」に注目、③フェミニズムの理論および運動を経てもなお残る現代の性差別を検証しようとした。そのことから、女性側の問題・男性側の問題・メディアの女性像のとらえ方の問題だけではなく、より具体的な例として④「ディズニー・プリンセスの変遷」から迫ることになった。テーマが大きくなりすぎ、ややまとまりに欠けるがメディア学科卒論としての意欲性を評価できる論考である。
【2013年度生全体への講評】
私、渡辺武達担当の2013年度卒業論文提出者は全25名で、全員の卒論が①提出期限、②テーマとキーワードの設定、③構成、④内容、⑤字数などの各条件を満たし、メディア学科生の研究成果として合格点に達していたと判断した。また提出後のゼミ恒例卒論相互批判会にも全員が出席し、4時間にわたり十分な議論を行ったので、同志社大学社会学部メディア学科卒業生として認められる勉学成果を挙げたものであると認定した。しかし提出にいたるまでに問題がなかったわけではない。その第1は、年々、就職活動期間が長引くようになり、3回生秋学期から4回生秋学期前半まで卒論準備に十分な時間をかけることが出来ない学生が大半であったことである。これは大学だけでは解決できない問題を含んでいるが日本社会の教育環境確保という点から危惧すべき状況があるということである。第2に、その結果、卒論執筆完了が遅くなり、指導教授による添削時間が充分に取れず、きめ細かな指導が満足のいける程度まですることが叶わなかった状況が生まれているということである。しかしそうした厳しい環境にもかかわらず、卒論ゼミ登録学生はよく頑張ったと思う。
キーワード1 フェミニズム
キーワード2 社会構築主義
キーワード3 メディア的現実
キーワード4
キーワード5