学科 | 教育文化学科 | ゼミ教員名 | 奥井 遼 | 年度 | 2023年度 |
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タイトル | クラシックバレエにおける踊り手の身体知 ―「練習の感覚」と「舞台の感覚」を軸にして― |
内容 | 本稿は、「わざ」としてのクラシックバレエに焦点をあてた一人称研究を行い、内的意識の解明に寄与することを目的としている。筆者が「バレエ」に魅了されて以来、現在まで習慣的に続けている「バレエ」の探究を学術的に解明したいと考えたことが発端である。これまでバレエを題材にした内的意識の研究は十分でなく、あっても研究主体と内的意識を記録する人物が異なる三人称研究がほとんどであった。本稿では筆者自身の内的意識を記したデータを使用した一人称研究に挑戦し、その感覚表現から筆者の内的意識の体系化及び理論の再定義を行った。特徴的な一人称的経験の事例を取り上げ分析することで、これまで曖昧に捉えていた感覚表現を明確に再定義した。これにより、技術習得と表現技法の観点が共存するクラシックバレエにおいて、その踊り手独自の感覚を持ちながら統一的な達成目標が存在することが明らかになった。 |
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講評 | 幼少期からのバレエ経験をふまえた質的研究である。稽古を通じた身体感覚の変化を、例えば「電気が通る」といった独特の用語で表現し、その感覚を生き生きと描き出した。自身の身体感覚を内的に捉えつつ、同時にそれらを言語化するという困難な課題に挑んだが、日頃書き溜めてきたノートやメモを手がかりにすることで、優れた一人称的考察をまとめるに至った。舞台において役になりきることと技術として成功させることの意識のありようを記述した箇所には、バレエ経験のない読者にもそのありありとした感覚を伝えるような説得力がある。普遍化や一般化といった問題は積み残るものの、自身の経験をベースとした質的研究の可能性を開きうる論稿である。 |
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キーワード1 | 身体知 |
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キーワード2 | 一人称研究 |
キーワード3 | 内的意識 |
キーワード4 | クラシックバレエ |
キーワード5 | 電気(信号)が通る |