学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 佐伯 順子 | 年度 | 2014年度 |
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タイトル | 『ラスト・シンデレラ』とシンデレラ・コンプレックス |
内容 | ドラマ『ラスト・シンデレラ』のヒット理由と、その背景にある時代とともに変化する女性像を明らかにした。 『ラスト・シンデレラ』は“おやじ女子”として働く女性のリアリティーさを面白く描くことで、共感をよんだ。そして、全ての女性にあるとされている“シンデレラ・コンプレックス”をうまく利用した演出で、世の女性たちに夢を見させた。また、少女漫画のような王道な恋愛パターンでありながらも、乙女ゲームのようなお色気シーンが加わり、ターゲット層の気持ちを掴んだのである。世の中を見回すと働く女性は増え、女性たちの多くは、自分をドライモードに切り替え、「女子」を封印する。そんな操作術を身につけ武器にしつつ、毎日バリバリ戦っている。でも、それだけでは終わらせたくない。時に、甘い夢を見たいと。そんな現代の働く女性たちの1人で自立したいという「独立」心と、誰かに頼りたいという「依存」心の葛藤をうまく描いたドラマが『ラスト・シンデレラ』である。 |
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講評 | この学年の佐伯ゼミでは、テレビ・ドラマ分析を中心に学習した結果、映像メディアをテーマにした卒論が全十八名のうち十二本と、最も多かった。最新のディズニー映画やアメリカ映画の人気シリーズ、ホラー映画、宮崎アニメ、米国、韓国、日本のテレビ・ドラマと、国際色豊かで多彩な研究テーマが含まれ、作品、作家研究を中心とする傾向のある美学、芸術学的なアプローチとは異なる、社会的、歴史的背景との関連性を視野に入れた研究となっていることが、本学科ならではの成果といえる。中国からの留学生が米国ドラマにおける「おたく」の概念を分析したり、韓国人留学生が日韓のテレビ・ドラマを比較したり、日本人学生が米国映画におけるアメリカ社会の心性の歴史的変化を明らかにするなど、同志社の国際主義にふさわしいグローバルで比較文化的な達成点を得ることができたことは意義深い。ジェンダーの観点から日本のテレビ・ドラマを分析した研究も、指導教員の専門分野を忠実に学んでくれた成果として評価できる。 ニコニコ動画やテレビゲームと、近年のメディアの多様化を反映したテーマも、同時代の研究として重要であり、ゲーム研究にも日米比較という国際比較の観点が含まれていることも貴重である。バラエティ番組をテーマにした卒業論文が二本含まれていることも、娯楽的コンテンツが学術的研究に値する対象であることを示した、メディア学科ならではの成果といえる。 アイドル研究もポピュラーカルチャー研究として独自の視点をみせ、さらに、旧来のメディアの送り手/受け手という二分法が現代のメディア環境においていかに相対化されているかを、理論的先行研究および最新の具体的事例を通して分析した研究は、メディア理論という硬派な要素をとりこんだ独自の成果であった。 新聞学の歴史を継承する活字メディアの分析としては、政治的、外交的な重要課題をめぐる新聞各紙の比較、スポーツ雑誌にみるヒーロー像、日独の女子サッカー報道の比較、女性ファッション誌についての分析があり、ここでも、留学経験を生かした国際的視点や、雑誌、新聞記事の丹念で実証的な分析が際立っていた。 全体として、国内研究中における隔週指導という変則的なゼミ形式でありながらも、優秀な論文がそろったことは、ゼミ生の謙虚な研鑽の結果として大いに評価できる。 |
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キーワード1 | シンデレラ・コンプレックス |
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キーワード2 | おやじ女子 |
キーワード3 | 働く女性 |
キーワード4 | 乙女ゲーム |
キーワード5 | リアリティー |