学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 池田 謙一 | 年度 | 2015年度 |
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タイトル | 音楽、メディア、人々の関わりの変遷 |
内容 | 本論文では、現代の音楽界の衰退に着目し、音楽とメディアにまつわるあらゆる事象から衰退の原因を推測する。二つの仮説から「音楽」「メディア」「人々」の関わり合いの移り変わりを検証した。一つ目の仮説は「人々が新たな音楽と出会うきっかけとなるメディアは、テレビからネット・SNSに移行しているのではないか?」で、立証はされなかったものの若者へのネット動画の浸透具合が証明された。二つ目の仮説「曲そのものとCDの存在価値は低下傾向にあるのではないか?」では、CDは未だ需要があるという意外な結果を導き出すことができた。またタイアップの影響力や、「曲本体」→「曲本体+視覚的要素」→「曲本体+視覚的要素+物理的特典」という、時代による楽曲の売れ方の特徴も見て取れた。テレビ・CD(旧)とスマホ・ネット動画(新)、それぞれの新旧メディアが手を取り合い、今後音楽界が再び盛り上がる未来を願って、まとめとしている。 |
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講評 | 卒論の大半は、今年も共通のインターネット調査を通じて、個々の卒論生が自分の研究仮説を検証する試みを行った。4回生の前半で、自分の研究対象についての仮説を形成していき、後半はその仮説を検証するための実証データを取得し、分析をして論文化したことになる。 本年の研究対象は多様で、卒論生の関心の広がりがよくわかった。メディアとマーケティングやブランド価値、メディアと地域志向・まちづくりや地域振興、多様なSNSの中での交友関係や影響関係・対人的マネジメント、異文化間コミュニケーション、体験イベントのコミュニケーション的価値、音楽プロモーションとファン、テレビニュースのインパクト、就職活動のメディア、育児ネットワーク、災害時のネットワーク、パーソナルデータのリスク認知、自己効力感とメディア発信量、ディズニープリンセスの変遷の研究、といったテーマである。 これら多様な関心について仮説をよく生成するためには、先行研究をよく調べ、どんな概念とどんな概念との間の関係を検討するか、明確に意識し、その洞察の中で、具体的な事象の中で具体的な質問項目によって実証できる仮説を作り出す必要がある。たとえば、音楽ファンのコアファンと呼ばれる人々はSNSによる発信行動が高い、などの仮説はファン層の行動についての洞察がなくてはならない。また、実証データの分析においては、調査したデータを扱うスキルがなくては、きれいな分析をして、明確に仮説の検証を行うことはできない。さらに、データ分析後に、卒業論文として、結果を体系的に検討し、最後に仮説の検証についての明確な結論を得なくてはならない。 全体として、卒論は全員がよくがんばったと言えるが、難点がなくはない。就職活動の時期が広範に延びたことによって卒論に費やす時間が大きく減少し、そのため仮説の生成が生煮えであり、データの検証と対応し切れていない卒論が部分的にあった。また、データの実証部分でも3回生の際に学習した統計的手法をもう少し活用したら、シンプルで説得的な分析ができただろう、という卒論も多く見られた。 今後は、卒論の経験を元に、実証的に考えることはどういうことか、社会の中でも応用できるように研鑽を積んでほしい。営業マンになろうと、企画課の職員になろうと、メディアの送り手になろうと、人々が使うメディアや人々の行動が実際にどうなっているか、という仮説を念頭に現実に切り込んでいければ、仕事の成果で得られるものも多い。がんばってほしい。 |
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