学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 池田 謙一 | 年度 | 2016年度 |
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タイトル | 投票行動とマスメディア |
内容 | この研究では、日本の国政選挙の特徴のひとつである「投票率の低さ」に注目し、2016年参議院選挙の投票率が伸び悩んだ原因が、有権者に対するマスメディア・政党の話題・期待の提供不足であるという結論に至った。 第1章では社会調査をもとに有権者の行動や意識を分析した。新聞は読者の政治関心を高めることに、テレビは視聴者へ投票を呼びかけることに向いていた。また「野党共闘」は自民党票を上回るほどの大きな効果につながらなかった。 第2章では実際の選挙報道から特徴と課題を考えた。新聞は争点を明確に定めていたが、テレビにその傾向はなかった。総じて報道数は少なく他のニュースに埋もれていた印象であった。 第3章では各政党の選挙用広告から戦略を考えた。与党は何度も広告を打ち政党間でイメージを合わせていたが、野党は広告数が少なくイメージも違い、広告だけでは共闘している印象は薄かった。また、与党の明確な野党批判も見られ、与党のほうが「共闘」をうまく利用していた。 |
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講評 | 卒業論文のかなりの部分は、今年も共通のインターネット調査を通じて、個々の卒論生が自分の研究仮説を検証する試みを行った。春学期に自分の研究対象を選び、その対象についての仮説を形成した上で、後半はその仮説を検証するための実証データを取得し、分析をして論文を執筆した。また何人かは、独自の文献調査・インタビュー調査を行った。指導教員の参議院選挙の研究データをもとに分析を進めた卒論も、今年はあった。全体として研究対象は多様で、卒論生の関心の広がりがよくわかった。参議院選挙を対象とした研究では公共圏やマスメディアの影響が論じられ、インターネット調査でも、世論に関連してインターネット内での他者発言が及ぼす争点参加効果が検討された。インターネット関連研究では、ネット内のバッシング行動、ソーシャルメディアによる実況、ーシャルメディア・マーケティングによる企業の印象形成、ネット発アーティストのリアル世界での活躍効果が研究され、インターネット世界とリアル世界との間で生じている現代的現象のメカニズムが論じられた。 また、インターネットを部分的に含みながらも漫画やアニメ、ゲームに関する関心も強く、限定的には「ドラえもん」ののび太の人物像研究、より一般化された形では、少女漫画とジェンダーとの関連性、日韓のウェブ漫画の発展形態の差異、乙女ゲームの要素のジェンダー的差異まで広く研究関心が及んだ。 さらに、メディア一般と文化・イメージ・ライフスタイルとの関連性に関心を向けた論文も書かれ、伝統芸能とメディア、韓国・中国における日本及び日本人のイメージ形成、子ども時代のメディア接触とライフスタイルが焦点になった。全体としては、それぞれのテーマはたいへん興味深いが、卒論としてはまだ三週間ほどほしい、という研究が多かったように思われる。春学期は就職活動での拘束が多く、仮説の発展や先行研究の読み込みの時間が不足していたとはいえ、共通のインターネット調査のデータの取得から二ヶ月はあったので、その間にもっと精緻な分析を試みることができたはずだ、という研究もあった。本年度から始まったメディア学社会調査法での勉強成果を生かした、がっちりした分析を行った論文も見られたが、仮説検証にもう少し習熟してほしい論文もあった。今後は、社会に出た後、データを扱う機会は確実に増えていくはずであるので、卒論の経験を踏まえて、データによって社会や社会現象を見る目を生かしてほしい。 |
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キーワード1 | 投票 |
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キーワード2 | マスメディア |
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キーワード4 | 争点 |
キーワード5 | 野党共闘 |