学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 池田 謙一 | 年度 | 2016年度 |
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タイトル | 伝統芸能とメディア |
内容 | 能楽部で活動する中で、日本の多くの人々が伝統芸能を観たことがなく、正しく識別していないと感じる経験を幾度とした。しかし国によって伝統芸能は保護されている。その状況に違和感を抱き、「現代における伝統芸能の存在意義とは一体何であるか」を求めることを目的に、今回研究を試みるに至った。伝統芸能の物語はフィクションではあるが史実を題材にした演目が多い。現代人がドラマなどを通して歴史を学ぶことがあるように、昔の人々も伝統芸能を通して情報を受け取っていたはずだ。また日本の伝統芸能が世界でも認められていることから、伝統芸能は日本を海外に発信する媒体になるのではないかと思い、伝統芸能のメディア的性質に注目して研究を展開することにした。まず文献調査を用いて伝統芸能のメディア性を明らかにし、次にネットアンケート調査を用い、人々の伝統芸能に抱く意識を分析することで仮説「現代において伝統芸能は、日本を海外に発信するメディアとして存在意義がある」の立証を試みた。 |
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講評 | 卒業論文のかなりの部分は、今年も共通のインターネット調査を通じて、個々の卒論生が自分の研究仮説を検証する試みを行った。春学期に自分の研究対象を選び、その対象についての仮説を形成した上で、後半はその仮説を検証するための実証データを取得し、分析をして論文を執筆した。また何人かは、独自の文献調査・インタビュー調査を行った。指導教員の参議院選挙の研究データをもとに分析を進めた卒論も、今年はあった。全体として研究対象は多様で、卒論生の関心の広がりがよくわかった。参議院選挙を対象とした研究では公共圏やマスメディアの影響が論じられ、インターネット調査でも、世論に関連してインターネット内での他者発言が及ぼす争点参加効果が検討された。インターネット関連研究では、ネット内のバッシング行動、ソーシャルメディアによる実況、ーシャルメディア・マーケティングによる企業の印象形成、ネット発アーティストのリアル世界での活躍効果が研究され、インターネット世界とリアル世界との間で生じている現代的現象のメカニズムが論じられた。 また、インターネットを部分的に含みながらも漫画やアニメ、ゲームに関する関心も強く、限定的には「ドラえもん」ののび太の人物像研究、より一般化された形では、少女漫画とジェンダーとの関連性、日韓のウェブ漫画の発展形態の差異、乙女ゲームの要素のジェンダー的差異まで広く研究関心が及んだ。 さらに、メディア一般と文化・イメージ・ライフスタイルとの関連性に関心を向けた論文も書かれ、伝統芸能とメディア、韓国・中国における日本及び日本人のイメージ形成、子ども時代のメディア接触とライフスタイルが焦点になった。全体としては、それぞれのテーマはたいへん興味深いが、卒論としてはまだ三週間ほどほしい、という研究が多かったように思われる。春学期は就職活動での拘束が多く、仮説の発展や先行研究の読み込みの時間が不足していたとはいえ、共通のインターネット調査のデータの取得から二ヶ月はあったので、その間にもっと精緻な分析を試みることができたはずだ、という研究もあった。本年度から始まったメディア学社会調査法での勉強成果を生かした、がっちりした分析を行った論文も見られたが、仮説検証にもう少し習熟してほしい論文もあった。今後は、社会に出た後、データを扱う機会は確実に増えていくはずであるので、卒論の経験を踏まえて、データによって社会や社会現象を見る目を生かしてほしい。 |
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キーワード1 | 伝統芸能 |
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