学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 池田 謙一 | 年度 | 2016年度 |
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タイトル | 子ども時代のメディア接触とライフスタイル・心理の相関 |
内容 | 人間の価値観やものの見方の形成に、影響を与える要因として、その人物が生まれ持った遺伝的要素のほかに、その人の“育ち”が挙げられる。そしてその“育ち”とは、感受性豊かで、多くを吸収する子どもの頃にあらかた形成されるのではないかと考えた。そこで本稿では、子どもの頃、どのような環境で、どのようなものに触れてきたかについて、特に子ども時代におけるメディア接触に言及しつつ、20代~50代の416名を対象としたインターネットリサーチを行った。アンケートでは、小学生・中学生の頃、誰とどこで過ごす時間が多かったのか、家族構成、友人や家族との心理的な距離感、また大人になった現在ついている職業や価値観に関する質問項目を設定し、そこから得たデータを集計、分析した。子どもの頃のメディア接触が、直接その人の価値観形成に影響することは少ないようだが、子ども時代のライフスタイルや心理は、成長し大人になっても無関係ではないことが示唆された。 |
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講評 | 卒業論文のかなりの部分は、今年も共通のインターネット調査を通じて、個々の卒論生が自分の研究仮説を検証する試みを行った。春学期に自分の研究対象を選び、その対象についての仮説を形成した上で、後半はその仮説を検証するための実証データを取得し、分析をして論文を執筆した。また何人かは、独自の文献調査・インタビュー調査を行った。指導教員の参議院選挙の研究データをもとに分析を進めた卒論も、今年はあった。全体として研究対象は多様で、卒論生の関心の広がりがよくわかった。参議院選挙を対象とした研究では公共圏やマスメディアの影響が論じられ、インターネット調査でも、世論に関連してインターネット内での他者発言が及ぼす争点参加効果が検討された。インターネット関連研究では、ネット内のバッシング行動、ソーシャルメディアによる実況、ーシャルメディア・マーケティングによる企業の印象形成、ネット発アーティストのリアル世界での活躍効果が研究され、インターネット世界とリアル世界との間で生じている現代的現象のメカニズムが論じられた。 また、インターネットを部分的に含みながらも漫画やアニメ、ゲームに関する関心も強く、限定的には「ドラえもん」ののび太の人物像研究、より一般化された形では、少女漫画とジェンダーとの関連性、日韓のウェブ漫画の発展形態の差異、乙女ゲームの要素のジェンダー的差異まで広く研究関心が及んだ。 さらに、メディア一般と文化・イメージ・ライフスタイルとの関連性に関心を向けた論文も書かれ、伝統芸能とメディア、韓国・中国における日本及び日本人のイメージ形成、子ども時代のメディア接触とライフスタイルが焦点になった。全体としては、それぞれのテーマはたいへん興味深いが、卒論としてはまだ三週間ほどほしい、という研究が多かったように思われる。春学期は就職活動での拘束が多く、仮説の発展や先行研究の読み込みの時間が不足していたとはいえ、共通のインターネット調査のデータの取得から二ヶ月はあったので、その間にもっと精緻な分析を試みることができたはずだ、という研究もあった。本年度から始まったメディア学社会調査法での勉強成果を生かした、がっちりした分析を行った論文も見られたが、仮説検証にもう少し習熟してほしい論文もあった。今後は、社会に出た後、データを扱う機会は確実に増えていくはずであるので、卒論の経験を踏まえて、データによって社会や社会現象を見る目を生かしてほしい。 |
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キーワード1 | 子ども |
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キーワード3 | メディア接触 |
キーワード4 | 心理 |
キーワード5 | ライフスタイル |