卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名竹内 幸絵 年度2016年度
タイトルセルフィーから見る「盛る」文化-若者の「盛りたいけど盛りたくない」心理とは?-
内容 若者達の間でよく使用される「盛る」という言葉。元来の「盛る」の意味とはまた別に、「実際の自分よりもより良く見せる」という意味で使われだしたのは2009年頃だ。プリクラのブームや、スマートフォンの普及による加工カメラアプリの出現。いかに実物の自分よりも可愛く見せる=「盛る」かが若者の大きな関心だった。しかし近年は、あれ程自分自身を偽りの姿でも良く見せたいという思いが露呈していた数年前と比べて、「盛る=恥ずかしいこと・遅れていること」というような意識が芽生え始めている。その流れを物語るかのように、”no filter”=加工なしブームや、インスタントカメラの写ルンです再ブームなど、これからの時代は盛らないことこそが「盛る」につながるのではないか、とまで言われている。では、なぜ2016年再び「盛れる」顔認識スタンプを用いたsnowやsnapchatといったアプリが大流行したのか?盛る文化と社会全体の変化にフォーカスを当て、アンケートとインタビュー調査をもとに考察する。
講評 「セルフィー」という最新の学生の流行写真加工アプリを入り口に、「盛る」=自身を飾る と「ナチュラル」=自然なまま という行為の社会的な変節、その意味を考える卒論である。プリクラが発売(1995)されたとほぼ同時に誕生した彼女ら世代にとって、自分を映した写真を自己アピールに使うという行為は極めて日常的な行為である。そのような世代の若者にとって、自身を飾る(飾らない)の価値観の揺らぎは何を意味するのか。これが本論の問題意識だ。彼女の考えは、自身を可愛く加工をすることが詐欺ではないか、と揶揄される近年の価値観が、美白や目を大きくするという加工アプリを忌避させている。しかし可愛く見せたいという欲望は衰えない。これが「はっきりわかる耳やひげをつけた可愛い自分」が創れる写真加工(仮想)アプリによって、これまでとは異なった「盛る」行為の流行を導いたというものだ。2011年の大震災での社会の自然回帰志向とも関連づけるなど個性的な思考の持ち主である彼女らしい論文となった。
キーワード1 盛る
キーワード2 若者
キーワード3 セルフィー
キーワード4 仮想カメラアプリ
キーワード5 盛りたいけど盛りたくない