学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 竹内 幸絵 | 年度 | 2017年度 |
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タイトル | 少年漫画における隻眼のキャラクターと「中二病」という言葉の変遷 |
内容 | 中二病を表す個性の一つに「隻眼」というものがある。そして、少年漫画には驚くほどに「隻眼」つまり片目を怪我しているキャラクターが多い。もともと、中二病という言葉は、医療機関において治療が必要となる精神疾患ではなく、思春期にありがちな背伸びしがちな行動を示す。ではなぜ私たちはもともとの意味から離れた、隻眼という個性を中二病と呼ぶようになったのか。新聞検索から中二病という言葉の意味をまとめ、中二病という言葉がどのように推移し、多義語へと変化したのか、その過程で少年漫画における隻眼のキャラクターがどのような役割を果たしたのかを考察した。その結果、隻眼のキャラクターたちが持つ共通点は全て男子中学生が憧れる設定であったこと、そしてその憧れは思春期に芽生える承認欲求が原因であること、そして彼らに憧れて眼帯を付けて学校に登校する中学生が各地にあらわれたことから、隻眼というビジュアルが中二病の持つ意味の一つになった、という結論に至った。 |
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講評 | 少年漫画には必ずと言っていいほど片目のキャラクターが登場する。執筆者はテーマ決定までには迷いがあったが、少年漫画に多数登場する隻眼(片目に何らかの負傷や片目の色が違うオッドアイ)のキャラクターに共通する設定があるという仮説をたてて検証を始めて以降は、楽しみながら調査し、テンポよく思考を深めていった。曰く、隻眼のキャラクターはみな家庭環境に恵まれず、通り名(本名以外の呼称)を持つ。そしていずれも人気投票では上位に位置するという。 親元から離れたいという欲求や、承認欲求(劣等感を抱えた後に認められたいと感じる)を持つ読者(思春期の少年)には、世の中に認められたあかしである「通り名」を持つ彼らは魅力的だ。執筆者はさらに中二病という言葉にも着目し、これが多義語となっていく過程において隻眼のキャラクターの存在がどのように影響したか、という視点でも検証を続けた。中二病という言葉が発生した1992年、1997-9年の人気漫画には隻眼のキャラクターが必ずといっていいほど存在する。目立ちたいが浮きたくない、という思春期の特有の心理に中二病と呼ばれる隻眼のキャラクターたちがつながっているという仮説、そして、それはあってもいいという彼女らしい結論が導かれた。 |
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キーワード1 | 隻眼 |
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キーワード2 | 少年漫画 |
キーワード3 | 言葉の変遷 |
キーワード4 | 中二病 |
キーワード5 | 承認欲求 |