学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 竹内 幸絵 | 年度 | 2017年度 |
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タイトル | 「絶望の中でも希望を捨てずに、いまを生きる」ということ 第二次世界大戦直後の書籍と映画における実存主義的メディア表象-「夜と霧」及び「素晴らしき哉、人生!」を例に- |
内容 | 点と点をつなげるということ、それは夜空に星座を描くことに似ている。我々は時折、全く異なるように見える物事にシンクロニシティを感じることがある。私はV.E.フランクルの書籍「夜と霧」とフランク・キャプラ監督の映画「素晴らしき哉、人生!」の鑑賞後に「いまを生きる」という共通した印象を抱いた。媒体の異なる両者を「メディア」と捉え、カルチャルスタディーズの手法を用いることで映画と書籍の比較を可能にし、様々な側面から包括的に両者を比較分析した。その結果、どちらも「いまを生きる」ように提示しているのは共通しているが「夜と霧」は終わりの見えない絶望の中でも希望を捨てずに「いまを生きる」という考え方であったのに対し、「素晴らしき哉、人生!」は恵まれた状況の中で気づくことの出来なかった幸せに気づき享受して「いまを生きる」という考え方であった。我々はどんな時も希望を捨てず、当たり前の幸せを享受し生きていくべきだ。 |
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講評 | 戦後すぐに制作されたアメリカとドイツという二つの異なる国、異なる作家、そして書籍と映画という媒体も異なる作品に共通したものを感じたという執筆者が、その共通性を分析しようという実験的なこころみである。このこころみの過程では、ホドキンソンのカルチャスタディーズモデルを学び、ナラティブ分析(物語論分析)も理解し、それらの応用をこころみた。これらが成功したかどうかよりも、本論は感性のするどい、独自性を持つ執筆者の一つの作品として読まれるべきであろう。彼はこのテーマにたどり着くまでに大変多くの曲折を経た。進路にも悩み、考えたいこと、やりたいこと、興味を持つこと。それらが非常に幅広く、自分でもその興味をどう整理するかに戸惑い悩む卒論執筆であった。私はその考えの揺れを自ら否定せず、自分を信じてほしいと思う。彼ならそれらをひっくるめて全て担ぎ、これからの学びに繋げていけるだろう。型破りなゼミ生の存在に私も学ぶ所が多かった。他大学の大学院進学を決めた彼の創造的生活の発展を心から期待している。 |
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キーワード1 | カルチャルスタディーズ(文化研究) |
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キーワード2 | 「いまを生きる」 |
キーワード3 | メディア理論 |
キーワード4 | 比較分析 |
キーワード5 | 第二次世界大戦 |