学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 竹内 幸絵 | 年度 | 2017年度 |
---|---|---|---|---|---|
タイトル | 文章化するドラマタイトルとSNS文化~略すはウケるし役に立つ~ |
内容 | 『逃げるは恥だが役に立つ』のような文章型のドラマタイトルが近年増加していると感じる。その一因に若者のSNS・略語文化が関与していると仮説を立て、ドラマタイトルの文字数・構成の変遷、若者のSNS使用の実態及びドラマ制作側のSNS広報について独自に調査した。その結果、以下の結論が導かれた。現代の若者たちはスマートフォンで日常的にSNSを使用している。SNSでは速いレスポンスが求められるため、伝達速度を短縮でき、かつ語感の良いユニークな略語が広く浸透した。そのSNS・略語文化にドラマ制作側が若者人気を狙って目をつけた。若者に馴染む略称をつければ覚えやすく、SNSのハッシュタグにも使用しやすい。そのため、略称をつけやすいある程度の長さを持つ文章型タイトルが増加した。さらにこのようなキャッチーな略称&SNS広報で成功したドラマの事例が、文章型タイトルをつけ、事前に公式的な略称を指定し売り込むという流れを定番化させたと言える。 |
---|
講評 | 言葉や表現に興味を持つ執筆者が選んだテーマはドラマタイトルの変遷である。若者にはすっかりなじみとなった昨今の文章型のドラマタイトル。今日のユースカルチャーの代表であり一見軽い印象を持つSNSは、実は「文章を書く(デバイスを使って打つ)」ことが前提となっており、今の若者は長い文章をも抵抗なく早く読むスキルを身に着けている。SNSの普及がドラマタイトルの長文化と関係しているのではないか。この仮説の検証を軸に、論理的な思考を得意とする彼女はたいへん多くのデータを使った量的調査分析型の卒論を仕上げた。 利用したのはヤフーのリアルタイム機能によるツイート数の独自調査、NHK放送文化研究所発刊『放送研究と調査』内や総務省情報通信白書のデータの利用など。その結果ドラマタイトルの単純な文字数増加ではなく、一言や名詞形ではない「文章型」タイトルが増加したことを突き止めた。さらに異なる視点から2017年のドラマに「略称」が多い事実にも行きついた。早いレスポンスが求められることが略語の創出につながっている。そして文章型タイトルの拡大と成功は略称による各局のドラマ売り出し戦略にも関係していると結論付けた。若者文化とマス媒体の戦略にまで繋げた理知的で広い視野の論文となった。 |
---|
キーワード1 | テレビドラマ |
---|---|
キーワード2 | 文章型タイトル |
キーワード3 | SNS |
キーワード4 | 略語 |
キーワード5 | 広報 |