学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 佐伯 順子 | 年度 | 2018年度 |
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タイトル | なぜ全国高校サッカー選手権大会は盛り上がるのか~メディアがスポーツに与える影響とは~ |
内容 | 「なぜ全国高校サッカー選手権大会は盛り上がるのか」をテーマに設定し、メディアがスポーツにどのような影響を与えているのかを調査した。現在スポーツ報道において「高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ」と「全国高校サッカー選手権大会」の間には「逆転現象」が起こっている。第二章ではテレビや新聞、雑誌、SNSによる「メディア露出度」を、第三章では大会のサポーターやスポンサー、報道内容の「報道の質」で比較したが、差は歴然であった。各種メディアがあらゆるカテゴリーに対して、様々な形で「全国高校サッカー選手権大会」を報道していることが、大会の人気を支える最大の理由なのではないかと感じた。また「スポーツとメディア」の歴史を調査した。スポーツは「メディア」と共に成長してきたが、その一方で「メディア」が原因となった深刻な問題も多発している。今後はメディアの持つ大きな影響力を適切に利用し、スポーツの発展に繋げて貰いたい。 |
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講評 | 本論文は、実力的には上であるサッカーのクラブチームに比べ、なぜ高校サッカーのほうが人気が上であるのかを、メディア露出の観点から考察したものである。テレビ中継、新聞記事、ネット情報を実証的に分析した結果、シーズンを通して試合がある高円宮杯に比べ、年末年始に行われる高校サッカー選手権のほうが、テレビ中継がしやすく、ハッシュタグを用いた投稿数においても、後者が数的に一桁上であり、内容も、後者は選手やマネージャーの投稿、試合風景に加えて試合観戦時の写真投稿が含まれているのに対し、前者はファンの投稿が多く、写真も試合風景に偏るという傾向が明らかになった。さらに、高校サッカーは女子マネージャーへの憧れが人気や高校への入学動機づけにまでなっており、クラブ・大会応援歌での人気アーチストの起用といった戦略もとられているのに対し、クラブ・チームのマネージャーは基本的に男性であり、音楽を用いた若者への遡及戦略も薄いことが明らかになった。同志社大学体育会のサッカー・チームに所属する2選手へのインタビューも行い、最終的に、高校サッカー関連の報道のほうが、読者の青春に重ねやすい「ストーリー性」があり、それによるメディアの注目度の差が、試合の集客数の差にも影響を与えていると指摘した。最終的に、高校サッカー報道を新聞の拡販材料とするのは健全ではなく、お互いに支えあうのがスポーツとメディアの理想的関係であると結論づけた。バレーボールとも比較しつつ、メディアとスポーツの理想的関係を考察した本論文は、サッカー経験者ならではの多角的視点と方法論を含む、完成度の高い論文である。 |
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キーワード1 | スポーツ報道 |
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キーワード2 | サッカー |
キーワード3 | 全国高校サッカー選手権大会 |
キーワード4 | 高円宮杯JFA U18サッカープレミアリーグ |
キーワード5 | マスメディア |