学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 竹内 幸絵 | 年度 | 2018年度 |
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タイトル | プロレス人気の再興とキャラクター化 |
内容 | 日本最大のプロレス団体『新日本プロレス』は約10年間の人気低迷期を克服し、今、過去最高の業績を記録しようとしている。この要因について、マーケティング的な要因のほかに、意図的なレスラーのキャラクター化により新規の女性・子どもファンを獲得したことがあると考察し、証明した。全盛期と言われる1990年代後半から2000年代前半の人気レスラーと2010年代の人気レスラーのコスチュームや試合スタイルを比較したところ、後者のキャラクター化は顕著であり、プロレス好きの女性を指す「プ女子」に人気のレスラーはいずれもキャラクター性が高い。さらに、人気アニメ『ドラえもん』に新日本プロレスのレスラーがキャラクターとして出演するなど、子ども人気も高くなっている。新日本プロレスの、かつてのプロレスイメージを払拭するキャラクター戦略が女性・子どもファンを増やしたことが分かった。この研究から、プロレスはただ強いだけでなく、“魅せる”スポーツであることを認識した。 |
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講評 | プロレスをテーマにします、と春に宣言してきたときは、正直、困ったな、と思った。私自身一度もプロレスを見たことがなく、なぜ人気なのか、さっぱり理解できなかったからだ。しかし彼は新日本プロレスのV字回復の要因を探りたい、という。新日本プロレスの興行収入は2012年には10億円をきっていたが昨年は40億円にまで伸びたという。私も調べてみると経営者が変わったことで商業的な成功がもたらされたという指摘が既に雑誌記事等でなされていた。 彼の卒論はしかしそうしたマーケティング戦略に軸足をおくものではなかった。彼はプロレスが「流行ってる感」の創出が若者にどう受け止められているのか、あるいは若い人気レスラーの特質が何をもたらしたのかを調査することに注力した。人気レスラーのトップ3を独自の調査から決定したうえで、彼らの「キャラクター化」がプロレス人気復興の背景にあるという結論にいきつく。特に内藤哲也というレスラーの留学後の変化に着目し、メキシコでの経験が衣装や戦い方の変化をもたらしたと説明する。これは他の論者にはない視点だった。 アントニオ猪木の提言した総合格闘技というまじめな戦い方という方向性から、「キャラクター化」への180度の転換。それが逆に従来のタイプを際立たせ、ファン層を厚くした、とう考察は、プロレスに限らず多くの従来型のコンテンツの活性化にも援用可能だ。そしてこの考えが、春からスポーツ関連事業で働く彼自身が今後応用可能な考察でもあることを是非自覚してほしい。この指摘を、卒論発表会で熱くプロレスを語ってくれたいつもはにかみ屋だった彼へのエールとしたい。 |
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キーワード1 | 新日本プロレス |
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キーワード2 | V字回復 |
キーワード3 | キャラクター化 |
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