卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名佐伯 順子 年度2020年度
タイトル地方テレビ局における「地域密着」と地方創生
内容 若者のテレビ離れが進み、インターネットやSNSといった新しいメディアが台頭する現代社会の中で、転換期にある地方テレビ局に着目し、その現状と課題、今後の地方テレビ局に求められるものを「地域密着」をキーワードに考察する。深刻な資金・人手不足やキー局の強い支配といった様々な課題の下で、地方テレビ局は数多くの質の高いドキュメンタリーや地域住民に寄り添った報道番組を制作している。本論文では地方テレビ局の強みが最大化される番組を4種類に分け、それぞれ具体的な局を挙げながら今後も地方テレビ局がその存在意義を確立するための姿勢や取り組み方を分析する。また、地域を盛り上げ、地域住民の日々の暮らしを豊かにするために地方テレビ局が開催する地域イベントや、近年増えている動画配信サービスやスマホアプリなどの最新技術の活用についても考察を深める。本論文が地方テレビ局の未来を考える上で有益となることを切に願う。
講評 ネット環境の発達に伴い、「若者のテレビ離れ」「視聴率低下」といわれながらも、経営収益において直近20年近くの間、ローカル局の広告収入に大きな変動はなく、総務省の調査によればテレビ視聴も極端に低下しているわけではなく、むしろ地方への意識は高まっているとも、近年の地方テレビ局をめぐる講演内容等の動きから指摘した。ただ、地方テレビ局は現在、確実に転換期にあり、地方圏から三大都市圏への人口流出の現実もふまえて、技術面、運営面を安定化させつつ、「地域密着」の役割に根ざし、最新の技術を導入した良質なコンテンツ制作を追及すべきであると問題提起した。さらに、この問題提起をふまえて、北海道、東北、四国、中国地方の番組をケーススタディとし、実証的に分析することでローカル局制作の番組の成功理由を明らかにした。全国に目配りし、キー局との関係性が抱える問題点、ネット配信等の最新技術との統合という新しい課題、地域イベントによる地方創生も含めて、地域放送局の可能性と新しい形の放送ビジネスの将来を展望した本論文は、ローカル局の社会的意義を明らかにした優れた論文となっている。
キーワード1 テレビ
キーワード2 地方テレビ局
キーワード3 地域密着
キーワード4 地域メディア
キーワード5 地方創生