内容 |
世界認知度の高い童話「白雪姫」の時代ごとのアダプテーション作品を比較し、女性のジェンダーモデルを分析した。その上で有泉優里(2013)の形式語尾のカウント方法を元に、作品のジェンダー表現を明確化することを試みた。今回の研究では、1930年代から2010年代まで「白雪姫」を題材とした映像作品を4つ取り上げ、登場人物のセリフの字幕において時代ごとのジェンダーモデルの変容が見られるかを探った。自身の仮説として、制作された時代が現代に近い作品になるにつれて女性的表現は減少し、中性的表現が増加していくことで作品中の女性は中性的要素が強まっていくと考えた。しかし結果としては、先述した方法では女性キャラクターのジェンダーモデルの目立った変容は見られなかった。そこで登場人物の服装や環境・言動など、表象的観点からの分析を加えた。ここでは作品自体のジェンダー像の変化があったことが見受けられ、作品中の女性のジェンダーモデルは中性的要素が増加、受け身な存在から自発的な存在へと移り変わる模様が見られた。また、画的視点とセリフの分析から、女性の多様性は認めつつも、現代ではそうした女性の中性的一面の中に、ある程度の女性らしさは消し去らないことが求められている女性像が読み取れた。 |