学科	メディア学科	ゼミ教員名	佐伯　順子	年度	2021年度
タイトル	インスタグラムの流行による旅行文化の変化

内容	近年における急速なスマートフォンの普及により、私たちの生活の様々な分野において影響や変化がもたらされている。そこで本稿では「SNSの普及」、その中でも「インスタグラムの流行」に焦点を当て、それらが旅行における価値観や文化に対してどのような変化をもたらしたのかについて、詳しく分析した。その結果、現在のインスタグラムユーザーのボリューム層である若年層においては、観光地や旅行に関する情報を得るためのツールとして、インスタグラムが台頭してきているということがわかった。さらに「インスタ映え」というインスタグラム特有の文化により、若者の旅行や観光地に対する価値観までもが、変化を遂げつつあることも明らかになった。この価値観の変化により、観光地の歴史的背景や地域的特性といった本質的な部分への評価が薄れてしまうことが想定され、最悪の場合、日本における旅行という文化の価値を下げてしまう可能性も考えられる。

講評	インスタグラムの一般的な利用状況、利用が多い世代についての調査をふまえて、旅行文化の現状とインスタグラムとの関連を旅行会社の情報とてらしあわせて考察した。若い世代の旅行の行先の決定や情報発信には、「インスタ映え」に象徴されるインスタグラムの影響力が大きいことを、先行研究も参照して明らかにした一方。観光地の一部の視覚的情報の発信による地域イメージのステレオタイプ化や表層化、フードロスなどの弊害にも注目し、ニュージーランド観光局の批判的な対応も含めて、ＳＮＳと観光地が生産的に共存することの必要性を提言した。メディアと観光文化との最新の関係を、国際比較の観点も含めて明らかにし、メディア学の視点からの旅行文化研究として独自の成果をあげた。

キーワード1	インスタグラム
キーワード2	旅行文化
キーワード3	インスタ映え
キーワード4	SNSの普及
キーワード5	観光地