内容 |
本論文の目的は、日本の伝統的な宗教性である「日本的アニミズム」は環境保全に応用できるのかを解明することにあった。近年、世界中でSDGsに向けた活動がなされているが、その中で自身がこれまで研究してきたジブリ作品に見る日本特有の自然環境に対する宗教性を、何か社会問題の解決に充てられないかと考えたのがきっかけであった。研究方法としては主に文献での調査となった。まず、「万物に精神が宿る」と言うアニミズム論だけでは日本独特の宗教性は説明し切れないという点から、「日本的アニミズム」という言葉を掲げ、ジブリ作品の分析により、その姿をより具体的に浮かばせた。そして日本的アニミズムとは、人と同じ空間や命の循環に在る神々を尊重する観念だと定義づけた。SDGsの1つである「陸の豊かさを守ろう」という目標と、日本的アニミズムを直接的に結びつけることは難しかったが、環境問題に対する宗教団体の活動や宗教と環境倫理の関係性を見直し、日本的アニミズムも環境保全の取っ掛りとして応用できると言えるとした。そしてそのためには、日本人の心にある日本的アニミズムが呼び起こされる体験と、ジブリ作品などのメディアや他者、また自然そのものとの一体感が重要であった。さらに、有効的な情報の受発信がより一層の効果向上に必要であると結論づけた。 |