卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名池田 謙一 年度2022年度
タイトル出版物の発行部数情報は消費者の購買意欲に効くか
内容 出版物の発行部数情報に関する3つの仮説検証を行った。
仮説1「マンガ(または書籍)の新規読者層はその作品の発行部数情報を参考にしている」について、発行部数情報単体では重視されているが、他の関連情報と比較すると特段注目されているわけではないことが分かった。
仮説2「特定の作品の既存ファンにとって、その発行部数が伸びているほど会話に出しやすい」について、発行部数情報を「他人に紹介する」という意識は薄く「話のネタにしできる」程度の認識をもっていると考えられる結果となった。
仮説3「既存ファンは発行部数情報そのものから個人的な安心感や優越感を得ていない」については仮説通りの結果となった。発行部数が増加した際の反応として、特に他者や社会の存在が前提にある感情が強いことが分かった。
以上から、発行部数情報は新規層向けというより、既存のファン内での交流のテーマとして効果を発揮しやすいものではないかと考えられる。
講評 本の帯に出る発行部数情報がマンガ読者/購買層にとってどんな意味を持つのか、ネット調査を通じて解明を試みた。新規ファンと既存ファンで持つ意味が異なる点が興味深く、発行部数そのものよりも感情の共有が口コミのポイントであり、その中で発行部数情報が意味を持つことが明らかになった。仮説生成から実証までロジカルに詰めている。ここまで判明すると発行部数アピールが出版社サイドや書店からどのように意図されているのかさらに追求したい。
キーワード1 発行部数情報は一般読者に伝わりにくい
キーワード2 感情の共有
キーワード3 新規層と古参ファン
キーワード4 数字がもたらす社会的側面
キーワード5