卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名竹内 幸絵 年度2022年度
タイトル戦争報道の罠~ロシアのウクライナ侵攻は平等に報道されているのか~
内容 ウクライナにおけるロシアの住民投票の実施に関して、報道の内容が欧米側に偏ったものになっていないかを精査したものである。記事の偏りを判断する基準として、①ロシアを非難する場合、信憑性の高い情報源を示しているか②ロシア支持派の主張を記事の中で扱っているか③戦争プロパガンダの法則に当てはまっている文が記事の中にあるかの3つを用意した。全部で13個の記事の内容分析を行った結果、どの記事も住民投票は不正であると主張しており、なおかつ不正の根拠を示していないということが分かった。また、ロシア政府の人物の発言を取り上げた記事はあったが、住民投票でロシアを支持した一般人への取材は行われていなかった。最後に戦争プロパガンダの法則との合致だが、「敵は卑怯な手段を使う」という法則が多くの記事の文中に見受けられた。結論として、ウクライナ住民投票における報道は欧米側に偏った内容のものが多いと言える。
講評 この学年が3回生から4回生になろうとしていた春、ロシアのウクライナ侵攻が勃発した。日本に暮らしている限り、このおどろくべき事態に関して得ることができる情報は、西側諸国のメディアが発信するものに限られている。ロシア側の発信を目にすることができたとしても、それは日本や西側のメディアの手によって日本語や英語に翻訳された情報である。そこにバイアスはかかっていないのか。私たちは本当に真実を知っているのか。こうした現状の中、執筆者は日本国内で目にできる各国メディアの記事を、執筆者の目で分析したい、と考えた。
ゼミの中でものんびり屋といった位置にいた筆者が、ロシアのウクライナ侵攻にかかる報道の分析を卒論のテーマとしたいと言ったとき、正直に言って私はかなり驚いた。ゼミの他のメンバーも驚いたに違いない。しかし教員の戸惑いをよそに彼はテーマを考え、絞り込んでいった。ウクライナで取材をされた日本人ジャーナリストの講演を聞くなどの機会にも恵まれ、筆者は自身の力により次第にテーマを捉える目を養っていった。独自の判断基準で日本で読むことが出来る報道の偏りを分析するという方法論を編み出した。できあがった卒論は、もちろんまだ粗削りである。独自に編み出した方法論も、公平なメディア分析と手法とはいいがたい面もある。しかし報道されている文章を、その他の資料を参照しながら比較する、使われた写真の詳細をつぶさに見る、といった、報道を深く読もうとする筆者の姿勢はひたむきで真摯であった。メディア学科の卒業研究にふさわしい内容にしあがったと思う。
キーワード1 偏った報道
キーワード2 住民投票
キーワード3 戦争プロパガンダの法則
キーワード4 不正の根拠
キーワード5 親ロシア派