学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 竹内 幸絵 | 年度 | 2022年度 |
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タイトル | 「推し活」の日常化 ーなぜ「推し活」がブームになっているのかー |
内容 | 2021年、ユーキャン新語・流行語大賞に「推し活」がノミネートされた。「推し活」とは、自分にとってイチオシのタレントやキャラクター、いわゆる「推し」を応援する活動のことを意味する。各種メディアでも特集が組まれるなど、世間でも馴染みのあるものになってきている。 オタクのような存在はかつてネガティブなイメージを持たれており、限られたコミュニティで活動を行うとされていたが、なぜ「推し活」というオタク的行動は社会に受け入れられブームとなったのか。「推し活」に関する文献、「推し活」をしている女子大学生3名へのインタビュー、論文・新聞記事検索を行い、「推し活」が拡大した背景とその実態を明らかにする。 研究の結果、「推し活」が拡大した要因は、SNSの普及によりオタク文化が一般化したこと、コロナの影響でおうち時間が増加したこと、「推し活」に関連した企業の取り組みが増加したことの3つであると考察した。また、インタビューを通して「推し活」はもはや生活に必要不可欠なものとなっており、「推し活」が日常化していると感じた。 |
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講評 | 「推し」とは、人に強くすすめたいほど気に入っていること。「推し」という言葉が急速に普及する中で、筆者はこの言葉が「オタク」とどう異なるのか、なぜ近年このような言葉と活動が活性化したのかを検証したいと考えた。彼女の説明する「推し活」は大人世代の想像を超える内容だった。たとえば「推し」活とは、本人不在の誕生日会と称し、推すタレントの写真とともに一人で誕生日会をする様子の写真。推すタレントのトレードマークを身につけた自分の写真。これらをSNSにUPすることなのだ。確かに従来の「オタク」とは一線を画す若者文化がそこにあるようだ。 研究ではオタクの定義を調べたうえで、この様な活動が「推し」へと変化する過程をまず追っていった。2020年に出版され芥川賞をとった小説の題名に端を発し「推し」は一般化したいわれるが、彼女は新聞紙上で「推し」という言葉がどの段階で多用され出したかを具体的に調査し、これと「推し活」を行っていると自認する友達へのインタビューとあわせ、「推し」が一般化した過程をあぶりだしていった。そして最終的にはこうした活動の情報交換の場が、2チャンネルから、SNSに変化し、ビジュアル(写真)が重視されていき、これが活性化を推進したと結論づけた。Twitterの調査、コロナ禍で行われたYoutubeイベントの内容、サイニーリサーチによる文献調査、新聞記事検索、そして言葉が一般化した後のコロナ禍にある企業側の思惑(企業×推し)にまで目配りした。多角的な視点が魅力の論文となった。 卒論発表会での締めの言葉、コロナ禍下での心の健康を支えるためにも「推し活」は存在したのだ、という筆者の言葉には心を打たれた。コロナにほんろうされた彼らの大学生活を思いやった。コロナ禍下におけるひとつのメディア文化論といえる論文である。 |
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