内容 |
本稿の目的は、日本の3大全国紙である『毎日新聞』、『朝日新聞』、『読売新聞』の比較分析を通して、各紙が「G7広島サミット2023」における「核問題」を、どのような視点からどのように論じたかを明らかにすることである。
論調については、「G7サミットの評価」と「核軍縮への展望」の分析を行う。『毎日』『朝日』は、G7広島サミットの成果に対して批判的である。被爆者のサミットの成果に対する不満に触れ、具体的な「核軍縮」への道筋が示されていないことを指摘した。『読売』は、世界の主要国が、国際秩序を守る決意を固くしたことを評価した。『毎日』と『朝日』は、「核軍縮」に向けて国際社会の結束が必要だとしている。『毎日』は世界全体が平和への意識の向上を唱えた。『朝日』は、首脳たちが広島サミットで感じた思いを、被爆地や世界の市民社会に伝えることが「核軍縮」に繋がると考えている。『読売』は、より多くの人々に被爆地に足を運んでもらい、核の使用を許さないといった機運を高めることを重要だと考えている。
視点については、本研究では「フレーミング理論」を用いる。『毎日』と『朝日』の論調は、政府の視点と被爆者の視点の両方に立ったものが多かった。『読売』は政府の視点に立ったものが多く、被爆者の視点に立った論調は見られなかった。 |